能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


「惜しい…これがもっと早く見られていれば」

新たな知識の入手に遅れた事を本気で惜しむ護。
白花は膝の上で指をもじもじと動かした。

「申し訳ありません…実は、私…字の読み書きが…できなくて」

知識を博している人達の前で恥ずかしくなると語尾になるにつれ声が小さくなる白花。
二人と目を合わせられず、俯いてしまうと隣から「白花様」と呼ばれ朔の方を見た。

「まあ。そうでしたか…! それなら、これから楽しいですね。色々と学べるではありませんか」
「藤乃様の言う通り。なんと羨ましい…知識だけは、どれだけ得ても誰にも奪われない。自分だけの財産です」
「えっ…?」

顔を上げれば、心の底から羨ましそうに白花を見る二人。
胸が熱くなった。

役に立たないからと女学校へも通えなかった。
読み書きできないこと知られてしまえば、学のない娘として突き放されると思っていた。
そんな反応とは正反対だった。

(この方達の事を、そんな風に思っていた私が一番…失礼です)

「はいっ…」

二人の言葉に、白花はまた一つ心が豊かになった。