能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


「あの…じっとしているの、苦手で…皆さんのお邪魔にはならないようにします…だから、」

言葉に詰まりながらも一言ずつきちんと伝えて、三人を見れば三人は嬉しそうに口角を緩ませた。

「まぁまぁまぁ…! それじゃあ、お手伝いしてもらおうかねっ」
「お着物が汚れたら大変! これしましょうね」
「婆婆の隣で作業しなさいな。色々坊ちゃんのこと聞きたいからねぇ」

一人が胸の前で手を合わせて嬉しそうに言ったのを皮切りに、二人も動いた。
割烹着を白花に着せ、トントンと隣の空いてるスペースを叩いた。

「それじゃあ…野菜を切ってもらう…?」
「やだ。手が切れたらどうするんだい」
「水仕事なんて、させられないでしょ」

白花に何をさせようかと揉める三人に、白花がおずおずと申し出た。

「野菜、切らせて下さい」

三人は顔を見合わせると、白花のために調理台の前を空けた。
いつものように野菜を切ると、三人の目がぱっと輝いた。

「あらあらあらっ。まぁ、手際の良い…!」
「まぁまぁ、包丁さばきが見事だこと!」

桜庭家でしていたようにするだけで、大袈裟なくらい褒められて恥ずかしくなった。

「いえ…そんな…」
「じゃあ、次はこれ! 私と一緒にしましょう」
「あっ! ずるいじゃない。それじゃあ、その次は婆婆としましょうね?」

まるで、幼い子を構うかのように振る舞った。