能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


「でも、もっと笑ってほしいわねぇ。若い子は何が好きかね? やっぱりハイカラなモノかね?」
「まぁねぇ…そのままでも十分可愛らしいけどねぇ。たしかに…何が好きなのかねぇ…」
「坊ちゃんがさっさと連れて行くから聞きそびれちゃったね。あの様子じゃあ坊ちゃん、相当惚れ込んでるんじゃないのかい?」

ゲラゲラと楽しそうに笑いながら言う彼女達に、白花の心は温かくなった。

「あ、あのっ…」

勇気を振り絞って声をかけると、笑顔の余韻を残したまま女中の一人が口を開いた。

「はいはい。どうされました? 白花様」

笑いすぎて目尻に溜まる涙を拭いながら尋ねた。

「私にお手伝いできる事、ございますか?」

恐る恐る尋ねると、女中達はお互いに顔を見合わせた。

「いや、でも…こういう仕事、手が荒れちゃうから。それに、着物だって汚れちゃう。だから、白花様は部屋で寛いでて下さい」
「後でお茶とお菓子持って行きますよ。若い子は甘い物が好きでしょう?」
「あらやだ、おやつこそ買いに行かなきゃ。婆婆好みのおやつしか置いてないもの。若い子食べないでしょ」

また三人で笑い合うが、白花はきゅっと着物を握りしめた。
それでも、もう一度口を開いた。