能面令嬢と闇の当主 〜愛のない契約結婚のはずでした〜


「ーー剛力様。先程まで苦しんでいた人に対し、軽率なことを仰るのはやめて下さい」
「おっ。おかえり。早いじゃねぇの。で、その男は…あらら」

再び黒宮が姿を現すと、淡々とした口調で牽制した。
剛力はそれを気にすることなく、男の現況を心配した。
男は泡を吹いて気を失っている。

「死んではいないから、良いかと」
「判断基準ガバガバじゃねぇか。ったく…で、コイツら何者か分かったのか?」
「ーーはい」

こくりと小さく頷けば、黒宮は淡々と説明した。

「彼らは『命の加護者』であるご令嬢を狙っていました。そして正体は、以前から国に反旗を翻している反国勢力です」
「あの…」
「どうした? お嬢ちゃん」

話を聞けば聞くほど、自分のこととは思えず、おずおずと手を挙げた。

「恐らく、人違いかと…私は異能を持っていません」
「えぇっ? 異能じゃなくて加護! オレだって、異能なんざ持ってないさ。オレは『獣』の加護を持ってるだけ」

白花の主張に目を丸くすれば、乾いた笑いを浮かべながら答えた。

「加護…というのも、私には心当たりがございません」
「…は?」

今度は黒宮が反応し、気絶している男から手を離すと白花に近付き腰を落とした。