朱籬姫の嫁入り 〜売られた花魁は、大妖狐の番として囲われる〜

 十四になった時、深朱(みあけ)振袖新造(ふりそでしんぞう)になった。

 禿(かむろ)の頃より袖は長く、髪には飾りが増えた。
 襟も、正式には赤襟(あかえり)と呼ばれるものへ替わる。

 けれど、まだ十四の深朱(みあけ)に許された色は、(ねえ)さまたちの濃い緋ではない。
 赤というには幼さの残る、浅緋色(あさひいろ)だった。

 その赤襟(あかえり)の返し方一つにも、姐さまたちの目が入る。

 けれど、それは自由を許された印ではなかった。
 一段見られる側へ近付いたという(だけ)だった。

 膝を揃える。背を丸めない。流し目で人を見る。
 客の前へ出る前から、深朱(みあけ)の身体はいつか見られる客の眼に合わせて作り直されていった。

 だのに、より一層、番頭新造(しんぞう)の八つ当たりは厳しいものになっていた。