君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一

 それから二週間、本格的な梅雨に入る頃。こいつは意識不明の状況が続き、日に日に体力も落ちていると聞いていた。
 俺はあいつの母親に許可をもらい毎日通い、顔を見て少し話をして、手を握って帰る。
 もう感情のまま話さない。ただ側に居たかった。

「藤城くんは大学受験するんだよね?」
「……え? はい、その……予定です」
 あいつと会った帰り、あいつの母親に呼び止められた。
「一般入試なんでしょう? 勉強、進んでる?」
「ああ、まあ……」

 あいつの母親には俺の素行が悪いことも、取り乱して叫ぶところも見せちまった。だからせめて受け答えだけはハッキリしようと心掛けてたのによ、どこまでも曖昧でヘナチョコで情けねぇ。
 正直なとこ受験勉強の予定は狂いまくり、期末テストなんか全く身に入らねぇ現状だ。

「自分の人生を、生きてね」
「……え?」
「ほら、あの子は。……生きられない運命、だから……。だけど藤城くんは違う。これからの人生があるから。長い人生が続いていくから。だから、お願い。あの子のために、自分を捨てないでね。藤城くんの人生は、これからも続いていくのだから」

 降り続ける雨を見つめる目は細く、蛍光灯の光りではない瞳の奥に宿るものに、俺の心はズンと重くなっていく。

「はい」
 深く頷いた俺は病院を後にし、ひたすらに真っ直ぐと家に向かっていく。
 いつもなら浜辺や街を目的なくブラブラして時間を溶かしていたが、そんな時間はねぇ。
 自室の机にはプリントやら教科書がグチャと置かれてて、帰ってきて一番にしたことはテスト勉強の計画立てだった。

 期末テストまで一週間。元より勉強はしていたし、今からなら詰めれるだろう。
 あいつの目が覚めた時、俺も頑張っていたんだぞ。そう言い張る為に睡眠時間を削り、あいつに会いに行く時間すら削りひたすらに机に向かった。