君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一


「遅くなりました」
「ありがとう、こっちなの」

 案内されたのはいつもの病室ではなく、病棟詰所内にある病室。
 ドクンと心臓が嫌な音を鳴らす。
 そこは母親が亡くなった病室だった。
 患者の対応が取れるようにと病院側で用意されてある、急患部屋。つまりそれだけ、予断を許さない状況ということだ。

『面会謝絶』
 ドアにそう張り出されているが、俺はこいつの母親の後に付いていき部屋に通してもらう。身内の許可があれば面会ができ、こいつの母親は俺をその相手として許してくれた。
 その事実に感謝し、閉ざされていたプライベートカーテンが開かれた先を俺は見つめる。


 ピッ、ピッ、ピッ。
 こいつのベッドを囲むように心電図モニターや点滴スタンドが配置されている。
 中央にはベッドで眠る、こいつの姿。
 力無く目を閉じ、体を一切動かさず、口元には管みたいなものを入れられ、それにより息をしている。想定していたよりも明らかに状態は悪く、目の前に映し出される視界がグラグラと揺れて見える。

「おい、どうしてしまったんだよ? おい!」
 肩を揺さぶるが、反応は一切返ってこなかった。
「嘘だろ、言ってたよな? 治療は辛いけど、生きて結果を見届けるんだと。一次落選でも構わない、それが結果だって。まだ結果出てないだろ? まだ終わってないんだよ! おい!」

 どれほど声をかけてもこいつは反応を示さなったが、一つ自分の意思を表すことが起きた。
 目から一粒の涙が、スッと耳元まで伝っていた。無念だと、吉永未来の心が叫んでいるようなそんな涙が。