君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一

「藤城くん? ……あ、違うの。私は!」
 そう言葉を発したこいつは立ちあがろうとするが、体はついていかないのか膝から崩れ落ち、両手を床に付く。

「おいっ!」
 椅子に座らせようとこいつの体を抱き抱えるが、その体は以前よりも明らかに軽く、俺は思わずこいつの顔を見上げてしまった。
 目が合った途端、こいつは俯いてしまい、両手の平で目元を抑え、肩を震わせる。

「と、とりあえず横になった方が良いから。看護師さんを呼んでくるから、待てるか?」
「だ、大丈夫! 歩ける……よ」
 言葉とは反対に、はぁ、はぁ、と息を切らせ、俺を止めるために掴んでる手は力が全然入っていない。
 その姿に嫌でも察しちまう。もう体は限界なのだと。

「……っ、未来!」
 その声と共に、こっちに向かって駆け寄ってくる女性。挨拶などしなくても分かる、こいつの母親だろう。
 こちらに顔を向けたかと思えば、潤んだ目を逸らし、俺にこいつを頼むと言い残し看護師さんを呼びに行ってくれた。

 俺が何も出来ない中で、手慣れたようにあいつ血圧や意識を確認する看護師さんにより、少し休んだ方が良いとあいつは車椅子に乗せられ、部屋に戻って行った。

「す、すみませんでした。俺のせいです。未来……さんに、急に会いにきたから……驚かせてしまって……」
 あいつを看護師さんに託した母親はこの場に残り、ただ俺を見据えている。
 そんな母親に俺はひたすらに頭を下げ、ただ謝ることしか出来ない。

 ……なにやってんだよ、俺は!
 自分の感情のままあいつの元に現れて、驚かせて、取り乱させて。
 本当に俺って奴は!

 どれほど罵声を浴びせられても仕方がないと身構えたが、返ってきた言葉は意外なものだった。

「もしかして、藤城くん、ですか?」
「……え? あ、はい」
 どうしてあいつの母親が俺を知っているのか分からねぇが、その目には涙が溢れていて、「来てくれてありがとう」と声を震わせていた。
 俺がこの病院に来たということは……と、あいつがひたすらに隠してきたことを話してくれ、全てを知った。