君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一


 あいつ、初めから何かおかしかった。
 体育休んだり、少し走ったぐれぇで異様に息切れしたり、一年の夏休み開けに不自然過ぎるぐらいに痩せたり、急に倒れたり……。
 あいつの作風が変わったのは、年明け頃だった。まだあの時は公募の結果も出てなかったのに、妙にソワソワして、異様なほど作品を書きまくっていて、内容が全然まとまってなくて、焦っているのは明らかだった。
 俺に何かを言おうとして、ためらっていて。
 ……あの時、もっと踏み込んで聞くべきだったのか。

 そう思い空を見上げると、チラチラと舞うのは真っ白な雪。
 初雪が降った日、優しかった母は死んだ。
 クリスマスは一時退院して、三人でクリスマスパーティーをしようと言ってくれていた。ケーキを一緒に作ろうと約束してくれていた。
 あの人とは、ツリーを飾って母さんを喜ばせようと一緒に計画を立てていたのに。

 母の死後、あの人は豹変した。
 息子の世話とか、小学校に進学する準備とか、仕事とか。
 そんなもの全て忘れたかのように、酒にどっぷり嵌り、母親を亡くしたばかりの俺に……。

 部屋に溢れる空き缶の山に、荒れ狂うあの人。その姿は、父親なんかじゃなかった。
 封じていた記憶が蘇りにより頭が割れそうなぐらいに痛み、雪を見ないように俯き目を強く閉じた。

 うそ……だろ、あいつは……。
 やめろよ、こうやって善良な人間にそんな運命を背負わせるのは。
 何でだよ? 何で、母さんとあいつなんだよ?
 優しくて、愛されていて、いなくなったら悲しむ人間を選ぶんだよ?
 やめろよ。頼む、やめてくれよ。