君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一

 夕方六時、日がすっかり短くなり空は暗く澄んだ空気により一番星がキラキラと輝く頃。俺は並木道を、一人走っていた。

 ったくよ、桜の並木道って言ってもどんだけ広いと思ってんだ?
 俺が通っていた中学校の校舎付近に続く並木道は、軽く一キロ以上はある。昼間ならすぐに視認出来るだろうが周囲は薄暗く、街灯を頼りに歩いていた。
 この場所は、春は桃色の桜が咲いていて名所と呼ばれるが現在は秋中盤。落葉樹である桜の木からは、はらりはらりと一枚ずつ葉が散っている。

 本当にここに居るのか?
 俺の思い上がりか?
 解釈違いってやつか?
 頭の中でグルグルと思考を巡らせていると、ふっとあいつとここで出会った日が脳裏に過る。

「あれは……、確か!」

 あいつに声をかけられた桜木の前に訪れ、木々を見上げる。そこにはサワサワと風で揺れ、葉が舞う幻想的な景色があった。
 あの日のあいつは、まるで桜の精みたいだった。鈴が転がるような美声に、桃色の花弁を舞わせたと錯覚するほどの微笑み、怒鳴った俺に怯みつつも自我を見せてきた芯の強さ。

 学校では関わるなと言ってるのに、買い出し係に立候補なんかしてきやがってよ。……おかげで、クラスの連中に暴言吐かずに済んだじゃねーか。
 なんなんだよ、あいつは? なんで、居ないんだよ。なんで胸にポッカリ穴が空いたような錯覚を起こすんだよ、くだらねー。
 唇をグッと噛み締め、その場所に背向けた途端。