君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一

 ──くだらねえ。
 机を寄せて話し合う、同じ服に身を包んだ奴らに心の中で毒吐いた。
 はぁーと胸の奥底にある黒いものを吐き出し、黒板に目をやれば、「小論文」とバカでかく書かれてあり、その横には「テーマ 生きる理由」と続いている。

 生きる理由? そんなもんねーよ。
 勝手にこの世に生み落とされて、何で必死こいて生きないといけねーんだよ?
 別にやりたいことなんて、ねーし。
 この先の人生なんかどうでもいいし。
 今、この時を大切に生きる?
 くだらねえ。

 そんな、どーでも良いことを考えながら、小論文を書く為の話し合いとかを冷めた目で傍観していた。

藤城(ふじしろ)くんは、意見ない?」
 俺のような奴にも面倒くさがらず話しかけてくる、前方に座っているグループの進行役。
 セーラー服の胸ポケットに下げたプラスチックの名札には吉永(よしなが)未来(みらい)と刻まれている。
 ふわりと揺れる胸元までの髪。大きな瞳、通った鼻筋、艶のある唇。
 いわゆる一軍と呼ばれる立ち位置で、美人と言われる部類であり、俺が一番関わりたくない人種。
 下手に誤解され、クラスの奴らに「身の程知らず」と嘲笑われでもしたら、やってらんねえ。
 だからこそ。

「ない」
 喉の奥に力を込め、あえて語気を強める。話しかけてくるなと、不機嫌なオーラを放って。
 その場の空気が一瞬張りつめたが、そんなのどうでもいい。

「そっか……」
 投げやりな返答に変わらず口角を上げていたが、大きな目は不安気に左右に動き、小さな声は教室の雑音に消えていく。
 しかし俺はそんな姿を横目に、黙々と原稿用紙にボールペンで文字を書き殴っていく。
 ペン先が紙をひっかく音だけが、やけに耳に残った。
 書き終えた用紙を、机に伏せた瞬間。

「えっ、もう終わったの?」
 長ったらしい話し合いが終わったのと同時に動いたのが、運の尽き。
 めんどくせー問いに、俺は下がっていた口元を一切動かさない。
 目のやり場を求めて頬杖をついた顔を窓側に向けると、そこにはあまりにも平凡過ぎる日常が広がっている。