君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一


「はぁはぁはぁ」
 学校では話さないと約束していたからそれを守り、こいつは追いかけてきたみたいだ。
 バカだな。連絡先知ってるんだから、メッセージ送るなり電話なりしたら良いのによ。
 ……まあ、この場所に立ち尽くしていた俺にだけは言われたくないだろうがな。

「久しぶり……だね」
 そう声を出したかと思えば、こいつはその場に膝をつく。それこそ下は地べたにも関わらず、完全に腰を下ろしてしまい、ゼエゼエと俯いてしまった。

「どうした?」
「ううん……。なんでも」
 言葉とは裏腹に、その息遣いは一向に落ち着かず体を動かす気配もない。
 俺は仕方がなく、こいつの前で背を向けてしゃがみ込んだ。

「え? いいよ……。迷惑だし」
「こんなところで座られている方が、よっぽど迷惑なんだよ!」
 そう言い、半無理矢理こいつを背負う。
 あれ?
 後ろを振り返りたい衝動を抑え、並木道の横にある神社に向かう。そこには、参拝客や花見に来た一般人の休憩用のベンチがあった。

「ごめんね。夏休みダラダラし過ぎちゃったかな?」
 まだ呼吸が安定しないこいつは、鞄から水筒を取り出しゆっくり飲み始める。すると風が吹き髪が靡くが、それは以前とは違った。
 髪はパサパサ、肌はカサカサで艶はなく、全体的に痩せ、半袖のセーラー服から伸びる腕や足の肉付きが変わっており、背負った体は明らかに軽かった。

「なあ。……いや」

 気付けば、喉まで出ていた言葉をグッと飲み込んでいた。こいつの目が、そのことに触れないでと言っているようで。
 だから俺は、ただ空を見上げた。
 青く澄み切った空、もくもくと流れる入道雲、眩しく照りつける太陽。
 強い日差しを塞いでくれる青葉は、時折サワサワと枝を揺らし風の音を知らせてくれる。
 そんな時間をただ過ごした。