君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一

 つまらねえ夏休みが終わり、風がなくじりじりと薄日が照りつける油照りの中、俺は久しぶりの学校に登校する。
 その気分はいつも以上に最悪で抑えきれない苛立ちと、ずっとモヤモヤしていたことの答え合わせが出来るような、よく分からない感情が入り混じっていた。
 教室に着くといつもは俯いているが、今日は顔を上げ眼球のみキョロキョロ動かし周辺を見渡す。するとその姿を捉えることは出来なかったが、鈴を転がしたような心地の良い声が聞こえてきて、俺は思わずチラッと横目で見る。
 そこにはいつもの男女グループと共にいるあいつが居て、目が合うと華が舞うような錯覚を起こさせてきた。
 それに対しあからさまにそっぽ向いてしまい先程までの慎重さが無駄となったが、そんなことどうでも良いぐらい俺の心はざわついていた。

 ……ん?
 席に座り一呼吸。何とも言えない違和感を覚える。あいつ、あんな感じだったか?
 不意に顔を上げようとし、慌てて俯く。
 いや。まあ。夏だしそんなものなんだろう。
 無理矢理自身に言い聞かせ、窓際の席からかんかん照りの空を見上げる。

 あいつは夏休みの間、執筆出来たのだろうか?
 次はそんな思いが、脳中を駆け巡っていく。
 しかし俺は当然ながらあいつに話しかけなどせず、回答のない問いを繰り返すだけ。クラスの陽キャと関わるなんて、絶対にしたくなかった。

「未来ちゃん、もう具合は大丈夫?」
「うん。ありがとうね、メッセージくれて」
大輝(だいき)、吉永さんのこと心配してたもんな」
「そうそう。連絡先教えて欲しいとか、言ってたしー」
「ちがうしっ! あ、いや、心配してたのは……、本当だから」
「うん、ありがとう内藤(ないとう)くん」

 そのやり取りに、俺の心は真夏の太陽に照り付かれ焼かれたように激しい痛みを起こす。小説の主人公が、ヒロインに勇気を出して行動を起こす。そんな一場面なんだろうな。
 ……くだらねえ。別に良いだろ、クラスの奴らがどうなろうと。