君と綴る未来 一余命僅かな彼女と一


 二週間後、平日の昼。俺は悠々自適に体を伸ばして、ベッドに横になっている。やっと夏休みに入り全ての煩わしさから解放された俺の心は、窓より見える青々とした空のように曇りもない。

 ……はずなのに何でだろうか? 俺の心はあの日から常に痛みを発しており、時折激しい熱さに襲われる。
 あの日以降体調不良で欠席を続けたあいつのこととか、夏休み集まる話とか、お節介な連中が二人を取り持つとか……。
 それが過った途端俺はスマホを手に取りあいつとのメッセージをやり取りしているアプリを開くが、スッと手を止める。

 何やってるんだ? 俺が連絡したところで、別にあいつの体調が良くなるわけじゃないだろ? 執筆はどうかとか、こっちから声かけるのは違うだろ? 誰とどうなろうと、関係ないだろう?
 俺は、ただの脇役なんだから。
 身を弁えた俺はスマホを下に向け横ボタンを押し、目を閉じる。

『藤城くんは、どうして小説を書くようになったの?』

 不意にその言葉が脳裏を過り、目がパチリと開く。気付けば立ち上がり、本棚の上部にしまってある一つの蓋付きの箱を手に取っていた。
 ブワッと舞う埃を払いそっと蓋を開けると、そこには幼児用の絵本が多数に、薄いアルバムが一冊入っていた。
 しかし俺は、どれにも手を付けることなく蓋を閉め上部に戻す。