〇鴨川の河川敷・夕方
西園寺とアリスが去った後。
目の前で干からびて死んだカエル。
琴乃は震えながら、自分の左手を胸に抱いている。
琴乃「……ごめんなさい。カエルさん」
蓮人「まあ、落ち込むな。カエルはあとで墓を作って成仏させてやろう」
琴乃「う、うん……」
蓮人「……ん?待てよ」
蓮人「あいつら…『時間を無駄にするな』って言ってたな」
蓮人「……ハッ。上等だ。俺たちが一番『時間』を有効に使ってやるよ」
蓮人M( 桜のアイデア。 「時間」という壁。 「一瞬で時間を進める」能力)
蓮人の目が鋭く光る。
蓮人、荒い息を吐きながら、髪をぐしゃぐしゃとかきむしる。
しかし、その目は死んでいない。
目の前に見える「草花」を見つめ、脳内で猛スピードで計算をしている。
蓮人M(……落ち着け!考えろ!天宮蓮人)
蓮人M(カエルは『一瞬で一生分の時間を生きた』……つまり)
蓮人M(『時間』を圧縮したってことか?)
蓮人「……琴乃。この能力が生き物だけでなく、もし植物にも使えるとしたら?」
蓮人「実験だ」
琴乃「え?」
蓮人、足元のタンポポのつぼみを指さす。
蓮人「あのタンポポのつぼみに触ってみろ。さっきのカエルみたいに…こいつを『殺して』みろ」
琴乃「えっ!?でも、枯れちゃうよ?」
琴乃「そんな可哀想なこと……」
蓮人「いいから!やれ!俺を信じろ!」
蓮人の真剣な眼差し。
琴乃は怯えながらも、蓮人の目を見て、覚悟を決める。
琴乃(……蓮人くんが言うなら)
琴乃(私が死神でも、彼が必要としてくれるなら……)
琴乃、恐る恐る左手の指先を伸ばす。 小さな緑色のつぼみに、指先が触れる。
ボッ!!
一瞬で茎が震える。 つぼみがみるみる膨らみ、ほころび、鮮やかな黄色の花がパッと開く
琴乃「あ……!」
蓮人「咲いた……!植物にも使えることが証明された」
さらに数秒後。 花は綿毛になり、風に乗って飛び散り、最後は茎が枯れて地面に倒れる。
二人の目の前には、枯れ草だけが残る。
琴乃「……やっぱり、最後は死んじゃう」
琴乃「私の手は、何も生み出せない……死神の手だよ……」
琴乃、しゃがみ込む
自分の左手を見つめる、震えが止まらない。
蓮人「待て。諦めるな」
蓮人、隣に見える別のつぼみを指さす。
蓮人「もう一度だ、琴乃」
琴乃「い、いや!もう嫌……!」
蓮人「やるんだ!さっきは『殺す』つもりでやったから、一気に時間が進みすぎたんだ」
蓮人は琴乃に歩み寄る。
蓮人「力を加減できれば……結果は変わるかもしれねえ」
蓮人「今度は、成長が緩やかになるように祈りながら触れてみろ」
蓮人「気持ちを植物に送るんだ。……例えば、今から10分後に花が咲くように」
琴乃「10分後……」
蓮人「ああ。想いを込めろ」
琴乃、震える手で、再び別の蕾に触れる。
今度は優しく、時間を慈しむように。
琴乃(……咲いて。ゆっくり……ゆっくり……)
……何も起きない。
琴乃「……ダメ、みたい」
蓮人「いや、しばらく待とう」
蓮人はじっと蕾を見つめる。
約10分後。
ゆっくりと小さな音を立てて、蕾がふわりと開いた。
今度は散らない。枯れない。美しく咲き誇っている。
蓮人「……咲いた」
蓮人「枯れてねえぞ、琴乃!成功だ!」
琴乃「あ……」
琴乃、呆然と手のひらの上の花を見る。
蓮人「制御できるんだ。お前の意思で、時間は操れる!」
琴乃の震えは止まらない。
ガシッ!!
蓮人が、琴乃の左手首を掴む。
琴乃「触らないで!」
琴乃「蓮人くんまで、死んじゃうよ!?」
琴乃の左手を力強く握りしめる蓮人
琴乃「ひっ……!?」
琴乃「離して!死んじゃう!時間が奪われちゃう……!」
蓮人「うるせえ!!制御できたじゃねえか」
蓮人、琴乃をグイと引き寄せ、その目を真っ直ぐに見据える。
蓮人「俺は死なねえよ」
蓮人「……お前を幸せにするまではな」
琴乃「え……」
蓮人は、琴乃の手のひらを自分の頬に当てる。
温かい。脈打っている。
蓮人「見ただろ?花は咲いたんだ」
蓮人「お前の能力は『老化』させることじゃなかったんだ。『時間を進めて成長させられる能力だったんだ」
蓮人「これは……死神の手なんかじゃない」
蓮人、ニヤリと不敵に笑う。
蓮人「一生、お前を守るために、あいつらに勝つために俺を成長させる手だ」
琴乃「……っ!」
蓮人「この手を握れるのは俺だけ、俺だけの特権だ」
琴乃の目から、大粒の涙が溢れ出す。
蓮人「……思いついたぞ、琴乃」
蓮人「カエルに使えば寿命が尽きて死ぬ。だが……『これから育つ苗木』に使えばどうだ?」
蓮人の目に、野心の火が灯る。
蓮人「立派な桜の成木は高すぎて買えない。だが、種や苗木なら二束三文だ」
蓮人「俺たちは、安い苗木を大量に買い集める」
蓮人「それをお前の手で『成木(大人の木)』を1年後に調整して、寸止めするんだ!」
琴乃「え……」
蓮人「そうすれば、金のない俺たちでも、短い期間で、立派な桜並木が作れる!」
蓮人「4~5年かかる桜を、1年で咲かせる。……お前の『時間』があれば、俺たちは未来を先取りできるんだ!」
琴乃「そ、そんな使い方が……!」
蓮人「カエル殺しの呪いが、都を救う『神の御手』に化ける瞬間だ!」
蓮人「やろうぜ、琴乃。俺たちの『桜』で、この衰退した京都をひっくり返すんだ」
琴乃、涙を拭って顔を上げる。
その表情から、卑屈な色は消えていた。
琴乃「……蓮人くん」
琴乃「もしこの力が、あなたの夢の役に立つなら」
琴乃、潤んだ瞳で強く微笑む。
琴乃「私、死神にだってなるよ。……怖くない」
琴乃「咲かせる。蓮人くんのために……何千本だって……!」
蓮人「……ああ。頼もしいな。でも死神にはなってほしくない」
蓮人、少し照れくさそうに視線を逸らす。
そして、繋いだままの手を見る。
蓮人「……名前、つけるか」
琴乃「え?」
蓮人「『老化』とか『死』とか、縁起でもねえからな。……かっこよくしようぜ」
蓮人、少し考えてから呟く。
蓮人「『星霜(せいそう)の手のひら』……ってのはどうだ」
琴乃「せいそう……?」
蓮人「ああ。『幾星霜』の星霜だ」
蓮人「ただ時間が経つだけじゃねえ。……『厳しい風雪に耐えて、苦労して、綺麗になる』って意味だ」
蓮人、ぶっきらぼうに琴乃の手を見つめる。
蓮人「お前のこの手は、老いさせる能力じゃない。桜を一番綺麗な姿にする魔法の手だ」
琴乃「……!」
琴乃「『星霜の手のひら』……。うん、素敵……!」
琴乃、嬉しそうに自分の手を見つめる。
さっきまで呪いと思っていた手が、今は宝物に見える。
琴乃「私のこの能力は、絶対に誰にも言わないでね」
琴乃「気持ち悪がらないのは、世界で蓮人くんだけだから」
蓮人「…………」
蓮人、フンと鼻を鳴らす。
蓮人「いや、俺も気持ち悪いと思うよ」
琴乃「えっ」
蓮人「カエル干からびさせる女とか、普通にホラーだろ」
琴乃「ひ、ひどい!さっき『魔法の手』って言ったのに!」
蓮人「あー、言ったっけ? 忘れた」
蓮人、ニシシと悪戯っぽく笑う。
琴乃も、つられてクスッと笑う。
蓮人「……誰にも言わねえよ。墓まで持ってく」
琴乃「……墓まで、か。うん、絶対一緒に入ろうね、蓮人くん」
蓮人「え!そういう意味じゃねえよ」
琴乃「…二人だけの秘密ができたね」
蓮人M(……ああ、誰にも言ってたまるか)
蓮人M(触れると死ぬ猛毒の手。……だが、俺だけが、この手を握ってやれる)
蓮人M(この危険な手の手綱を握れるのは、世界で俺1人だ)
夕闇の中、二人の影が一つに重なる。。
蓮人、気合を入れ直すように頬を叩く。 ふと、隣を歩く琴乃の左手を見る。
蓮人「……それにしても」
蓮人「なんでお前に、そんな『能力(チカラ)』があるんだ?」
蓮人「お前の家系……九条家には、代々そういう力が伝わってるのか?」
琴乃「ううん。全然知らないの」
琴乃「お母様とも、おばあ様とも、そんな話一度もしてないもの。……たぶん私だけよ」
琴乃「どこから来たのか……誰が与えたのか……私にも全くわからないの」
蓮人「ふうん……突然変異ってやつか?」
琴乃「わからないわ。家族にも言ってないからね」
蓮人「ま、今はその『出所不明のチカラ』でも、猫の手よりはマシか……」
琴乃「そうよ。二人で力を合わせて、京都中を桜で埋め尽くしましょう」
ナレーション
『明治16年、5月。ハッタリだけの凡人の少年と不思議な能力を持つ少女の命がけの「桜植樹プロジェクト」が幕を開けた』
西園寺とアリスが去った後。
目の前で干からびて死んだカエル。
琴乃は震えながら、自分の左手を胸に抱いている。
琴乃「……ごめんなさい。カエルさん」
蓮人「まあ、落ち込むな。カエルはあとで墓を作って成仏させてやろう」
琴乃「う、うん……」
蓮人「……ん?待てよ」
蓮人「あいつら…『時間を無駄にするな』って言ってたな」
蓮人「……ハッ。上等だ。俺たちが一番『時間』を有効に使ってやるよ」
蓮人M( 桜のアイデア。 「時間」という壁。 「一瞬で時間を進める」能力)
蓮人の目が鋭く光る。
蓮人、荒い息を吐きながら、髪をぐしゃぐしゃとかきむしる。
しかし、その目は死んでいない。
目の前に見える「草花」を見つめ、脳内で猛スピードで計算をしている。
蓮人M(……落ち着け!考えろ!天宮蓮人)
蓮人M(カエルは『一瞬で一生分の時間を生きた』……つまり)
蓮人M(『時間』を圧縮したってことか?)
蓮人「……琴乃。この能力が生き物だけでなく、もし植物にも使えるとしたら?」
蓮人「実験だ」
琴乃「え?」
蓮人、足元のタンポポのつぼみを指さす。
蓮人「あのタンポポのつぼみに触ってみろ。さっきのカエルみたいに…こいつを『殺して』みろ」
琴乃「えっ!?でも、枯れちゃうよ?」
琴乃「そんな可哀想なこと……」
蓮人「いいから!やれ!俺を信じろ!」
蓮人の真剣な眼差し。
琴乃は怯えながらも、蓮人の目を見て、覚悟を決める。
琴乃(……蓮人くんが言うなら)
琴乃(私が死神でも、彼が必要としてくれるなら……)
琴乃、恐る恐る左手の指先を伸ばす。 小さな緑色のつぼみに、指先が触れる。
ボッ!!
一瞬で茎が震える。 つぼみがみるみる膨らみ、ほころび、鮮やかな黄色の花がパッと開く
琴乃「あ……!」
蓮人「咲いた……!植物にも使えることが証明された」
さらに数秒後。 花は綿毛になり、風に乗って飛び散り、最後は茎が枯れて地面に倒れる。
二人の目の前には、枯れ草だけが残る。
琴乃「……やっぱり、最後は死んじゃう」
琴乃「私の手は、何も生み出せない……死神の手だよ……」
琴乃、しゃがみ込む
自分の左手を見つめる、震えが止まらない。
蓮人「待て。諦めるな」
蓮人、隣に見える別のつぼみを指さす。
蓮人「もう一度だ、琴乃」
琴乃「い、いや!もう嫌……!」
蓮人「やるんだ!さっきは『殺す』つもりでやったから、一気に時間が進みすぎたんだ」
蓮人は琴乃に歩み寄る。
蓮人「力を加減できれば……結果は変わるかもしれねえ」
蓮人「今度は、成長が緩やかになるように祈りながら触れてみろ」
蓮人「気持ちを植物に送るんだ。……例えば、今から10分後に花が咲くように」
琴乃「10分後……」
蓮人「ああ。想いを込めろ」
琴乃、震える手で、再び別の蕾に触れる。
今度は優しく、時間を慈しむように。
琴乃(……咲いて。ゆっくり……ゆっくり……)
……何も起きない。
琴乃「……ダメ、みたい」
蓮人「いや、しばらく待とう」
蓮人はじっと蕾を見つめる。
約10分後。
ゆっくりと小さな音を立てて、蕾がふわりと開いた。
今度は散らない。枯れない。美しく咲き誇っている。
蓮人「……咲いた」
蓮人「枯れてねえぞ、琴乃!成功だ!」
琴乃「あ……」
琴乃、呆然と手のひらの上の花を見る。
蓮人「制御できるんだ。お前の意思で、時間は操れる!」
琴乃の震えは止まらない。
ガシッ!!
蓮人が、琴乃の左手首を掴む。
琴乃「触らないで!」
琴乃「蓮人くんまで、死んじゃうよ!?」
琴乃の左手を力強く握りしめる蓮人
琴乃「ひっ……!?」
琴乃「離して!死んじゃう!時間が奪われちゃう……!」
蓮人「うるせえ!!制御できたじゃねえか」
蓮人、琴乃をグイと引き寄せ、その目を真っ直ぐに見据える。
蓮人「俺は死なねえよ」
蓮人「……お前を幸せにするまではな」
琴乃「え……」
蓮人は、琴乃の手のひらを自分の頬に当てる。
温かい。脈打っている。
蓮人「見ただろ?花は咲いたんだ」
蓮人「お前の能力は『老化』させることじゃなかったんだ。『時間を進めて成長させられる能力だったんだ」
蓮人「これは……死神の手なんかじゃない」
蓮人、ニヤリと不敵に笑う。
蓮人「一生、お前を守るために、あいつらに勝つために俺を成長させる手だ」
琴乃「……っ!」
蓮人「この手を握れるのは俺だけ、俺だけの特権だ」
琴乃の目から、大粒の涙が溢れ出す。
蓮人「……思いついたぞ、琴乃」
蓮人「カエルに使えば寿命が尽きて死ぬ。だが……『これから育つ苗木』に使えばどうだ?」
蓮人の目に、野心の火が灯る。
蓮人「立派な桜の成木は高すぎて買えない。だが、種や苗木なら二束三文だ」
蓮人「俺たちは、安い苗木を大量に買い集める」
蓮人「それをお前の手で『成木(大人の木)』を1年後に調整して、寸止めするんだ!」
琴乃「え……」
蓮人「そうすれば、金のない俺たちでも、短い期間で、立派な桜並木が作れる!」
蓮人「4~5年かかる桜を、1年で咲かせる。……お前の『時間』があれば、俺たちは未来を先取りできるんだ!」
琴乃「そ、そんな使い方が……!」
蓮人「カエル殺しの呪いが、都を救う『神の御手』に化ける瞬間だ!」
蓮人「やろうぜ、琴乃。俺たちの『桜』で、この衰退した京都をひっくり返すんだ」
琴乃、涙を拭って顔を上げる。
その表情から、卑屈な色は消えていた。
琴乃「……蓮人くん」
琴乃「もしこの力が、あなたの夢の役に立つなら」
琴乃、潤んだ瞳で強く微笑む。
琴乃「私、死神にだってなるよ。……怖くない」
琴乃「咲かせる。蓮人くんのために……何千本だって……!」
蓮人「……ああ。頼もしいな。でも死神にはなってほしくない」
蓮人、少し照れくさそうに視線を逸らす。
そして、繋いだままの手を見る。
蓮人「……名前、つけるか」
琴乃「え?」
蓮人「『老化』とか『死』とか、縁起でもねえからな。……かっこよくしようぜ」
蓮人、少し考えてから呟く。
蓮人「『星霜(せいそう)の手のひら』……ってのはどうだ」
琴乃「せいそう……?」
蓮人「ああ。『幾星霜』の星霜だ」
蓮人「ただ時間が経つだけじゃねえ。……『厳しい風雪に耐えて、苦労して、綺麗になる』って意味だ」
蓮人、ぶっきらぼうに琴乃の手を見つめる。
蓮人「お前のこの手は、老いさせる能力じゃない。桜を一番綺麗な姿にする魔法の手だ」
琴乃「……!」
琴乃「『星霜の手のひら』……。うん、素敵……!」
琴乃、嬉しそうに自分の手を見つめる。
さっきまで呪いと思っていた手が、今は宝物に見える。
琴乃「私のこの能力は、絶対に誰にも言わないでね」
琴乃「気持ち悪がらないのは、世界で蓮人くんだけだから」
蓮人「…………」
蓮人、フンと鼻を鳴らす。
蓮人「いや、俺も気持ち悪いと思うよ」
琴乃「えっ」
蓮人「カエル干からびさせる女とか、普通にホラーだろ」
琴乃「ひ、ひどい!さっき『魔法の手』って言ったのに!」
蓮人「あー、言ったっけ? 忘れた」
蓮人、ニシシと悪戯っぽく笑う。
琴乃も、つられてクスッと笑う。
蓮人「……誰にも言わねえよ。墓まで持ってく」
琴乃「……墓まで、か。うん、絶対一緒に入ろうね、蓮人くん」
蓮人「え!そういう意味じゃねえよ」
琴乃「…二人だけの秘密ができたね」
蓮人M(……ああ、誰にも言ってたまるか)
蓮人M(触れると死ぬ猛毒の手。……だが、俺だけが、この手を握ってやれる)
蓮人M(この危険な手の手綱を握れるのは、世界で俺1人だ)
夕闇の中、二人の影が一つに重なる。。
蓮人、気合を入れ直すように頬を叩く。 ふと、隣を歩く琴乃の左手を見る。
蓮人「……それにしても」
蓮人「なんでお前に、そんな『能力(チカラ)』があるんだ?」
蓮人「お前の家系……九条家には、代々そういう力が伝わってるのか?」
琴乃「ううん。全然知らないの」
琴乃「お母様とも、おばあ様とも、そんな話一度もしてないもの。……たぶん私だけよ」
琴乃「どこから来たのか……誰が与えたのか……私にも全くわからないの」
蓮人「ふうん……突然変異ってやつか?」
琴乃「わからないわ。家族にも言ってないからね」
蓮人「ま、今はその『出所不明のチカラ』でも、猫の手よりはマシか……」
琴乃「そうよ。二人で力を合わせて、京都中を桜で埋め尽くしましょう」
ナレーション
『明治16年、5月。ハッタリだけの凡人の少年と不思議な能力を持つ少女の命がけの「桜植樹プロジェクト」が幕を開けた』

