00:00/15:02 シャラララン シャララララーン(オープニングの音楽が流れる)

00:15/15:02 (“なっちゃんがローテーブルの前で座っている。全体に薄暗い部屋が映し出される。部屋の中の家具は白一色。『Summer Brothers』のポスターやアクリルスタンド、ぬいぐるみなどが雑多に飾られている)
「こんばんは。えっと、今日はVlogというかたちですが、いまの私の状況と、これからのことについてみなさんにご報告があります。Vlogを通して私の推し活についてささやかながらみなさんに共有させていただいてきました。が、今日でVlogは終わりにしようかなと思っています」

01:32/15:02(アングル変わらず)
「突然のことで疑問を抱かれてる方もいらっしゃるかと思うので、手短にお話ししますと、実はいま私、会社に行かずに引きこもっている状態でして。引きこもりといっても、自宅ではなくてとある廃墟で暮らしていました。でも今は自宅に一時帰宅しています。このYouTubeはチャンネル登録者数もそんなに多くないし、数十人規模の会社の同僚が見ることはまずないという前提でお話ししています。不快な方は閉じていただいて結構です」

03:21/15:02(アングル変わらず)
「で、なんで引きこもっているのかをお話しさせていただくと、会社の方針と私の目指すこれからの理想の生活との間にずれを感じたからです。以前もちょっと愚痴を吐いてしまいましたが、会社から推し活をするという理由で有給を使うことを許されませんでした。サマブラに出会うまで、もともと推し活の“お”の字も知らない私でしたが、サマブラに——シンジくんに出会ってからは、私の人生は彼一色です」

(このあたりから映像に乱れが生じ始める)

05:48/15:02(アングル変わらず。“なっちゃん”の後ろに一瞬男性の顔が浮かび上がる)
「実は、今回の有給の件だけじゃなくて、うちの会社って結構ブラックなところがあるんですよ。さすがに社名まで出すことはしませんけど、残業代がつかなかったり、深夜に業務命令が出たり……。でもね、残業代についてはあんまりみんな気づいてないと思うんです。みなし残業代があって、時間超過した分は通常の残業代の計算方法で支払われなくちゃいけないと思うんですけど、計算してみたら支払われるべき金額より少しだけ低いんですよ。だけどみんな、忙しさにかまけて大事なところに気づいてないんです。会社は私たち社員のことをなんだと思っているんでしょう? 頑張って残って仕事をしても、労働の対価が正しく支払われない。認められない。だから、私はそんな会社のやり方に嫌気がさして、こうして引きこもっています」

07:25/15:02(アングル変わらず。“なっちゃん”の声がだんだんと男性のものに変わっていく)
「こうして家のなかにいると、シンジくんと一緒にいられるから幸せです。会社のこととか、推し事が有給として認められないって言ってた上司のこととか、全部忘れられます。シンジくんだけは私を認めてくれる。シンデクレ。シンジくん、本当に愛してる。シンデ。私はシンジくんのことをこんなに愛してるのにね、みんなシンジくんのこと認めてくれないの。ジンジくんはいないんだって言い張ってくる。ミンナシネ。絶対いるのに! どうして信じてくれないの? アイツラノセイダ。シンジくんはサマブラの中心なのに。アイツラゼンインシネ。私が“シンジくん”っていうたびに、サマブラのファンたちが私のこと、頭のおかしいやつだって指摘してくるの。ジゴクニヒキズリオトス。サマブラは五人なんかじゃない。六人メンバーだよ。六人は高校時代からずっと仲良しで、今もシンジくんがいちばんの人気者」

13:23/15:02(アングル変わらず。“なっちゃん”の顔が白目を剥いた男性のものに入れ替わる)
「でももう、いいいや。考えるだけ無駄かも。だってシンジくんは私のものなんだもん。ハヤクシネ。私はシンジくん。オマエモシネ。シンジくんは私。ミンナシネ。ずっと一緒。これからも永遠に一緒。ジゴクヘ。だから私、全然怖くないの。私を認めてくれるのはシンジくんだけ。ユルサナイ。シンジくんが私にしか見えないなら、それって究極の愛の証ってことにならない? それじゃあ、みなさん。ここまで私のシンジくんへの愛の言葉を聞いてくれてありがとう。いまからシンジくんの元へ行きます。さようなら。

アイツラゼンイン
ユルサナイ

ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ」

15:02/15:02 (“男性”の顔がアップになり、ローテーブルに突っ伏したあと、画面が乱れ、そのまま真っ暗に)

※撮影後すぐに動画がアップロードされた形跡あり