なあ、もしかしてお兄さん、またあの件で取材?
はあ……。連日取材、取材で仕事が進まなくて困ってるんですよ。いや、分かってますよ。部下の秋葉さんが亡くなって、私自身心の整理がつかないんです。そんな中、こうして何度もインタビューをされて、ちょっと参っているというか……。彼女を弔う気持ちがあるからこそ、もうゆっくり眠らせてやってほしいんですよ。彼女の死に事件性があるわけでもないでしょ? だからほら、あまり事を荒立てすぎないようにしてほしいものです。
秋葉さんの有給についてですか。
他のメンバーも言っていたと思いますが、うちでは勤怠は全部社内システムである[勤怠ねっと]を使っているんです。そこで、三日前までに有給申請すればいいことになっています。それを、私がチェックして承認するという流れです。
で、あれですよね。
彼女が上司から『推し事は有給休暇として認められない』と言われたと発言したそうじゃないですか。
いやね、確かに言いました。そこは認めます。でも、冗談だったんですよ。その時彼女がちょうど推し活?って言うんですかね。それを始めたみたいで、世間話程度にいろいろ話してくれていたんですけど。話している間、彼女が明らかに自分の世界に入り込んでいるみたいで、ものすごく没頭しているんだなと感じました。で、『今度有給使ってライブに行きたいんです』と笑いながら言われたもんで、ちょっと冗談で『推し事は有給休暇として認められないんだぞー』とこっちも笑って返しただけです。『ええ、そうなんですか?』と、秋葉さんのほうも多少驚きつつ、でも冗談だと分かっているような口ぶりでしたよ。推し活のことを“推し事”と表現したのは、もちろん“お仕事”に掛けていますよ。言葉遊びをしただけなんですけどねえ。
彼女が私の発言を真に受けていたなんて知りませんでした。
彼女と親しい人間関係について?
うーん、私はほら、異性で年齢も離れているから、彼女の人間関係についてはそこまで……。
同期のみんなとはそれなりに仲が良かったし、特に一つ上の東野とは懇意にしているようでしたけどね。恋人と学生時代の友人関係についてはあまり。
でも、亡くなったときにメモがあったんですよね。
『あのひとのところへいく』って。
彼女のご両親は健在だし、兄弟はいなかったと思いますよ。その辺は間違いないです。
だからやっぱり恋人じゃないですか?
後追いなんて、優秀な彼女がどうしてどんなことを……。
はあ……。連日取材、取材で仕事が進まなくて困ってるんですよ。いや、分かってますよ。部下の秋葉さんが亡くなって、私自身心の整理がつかないんです。そんな中、こうして何度もインタビューをされて、ちょっと参っているというか……。彼女を弔う気持ちがあるからこそ、もうゆっくり眠らせてやってほしいんですよ。彼女の死に事件性があるわけでもないでしょ? だからほら、あまり事を荒立てすぎないようにしてほしいものです。
秋葉さんの有給についてですか。
他のメンバーも言っていたと思いますが、うちでは勤怠は全部社内システムである[勤怠ねっと]を使っているんです。そこで、三日前までに有給申請すればいいことになっています。それを、私がチェックして承認するという流れです。
で、あれですよね。
彼女が上司から『推し事は有給休暇として認められない』と言われたと発言したそうじゃないですか。
いやね、確かに言いました。そこは認めます。でも、冗談だったんですよ。その時彼女がちょうど推し活?って言うんですかね。それを始めたみたいで、世間話程度にいろいろ話してくれていたんですけど。話している間、彼女が明らかに自分の世界に入り込んでいるみたいで、ものすごく没頭しているんだなと感じました。で、『今度有給使ってライブに行きたいんです』と笑いながら言われたもんで、ちょっと冗談で『推し事は有給休暇として認められないんだぞー』とこっちも笑って返しただけです。『ええ、そうなんですか?』と、秋葉さんのほうも多少驚きつつ、でも冗談だと分かっているような口ぶりでしたよ。推し活のことを“推し事”と表現したのは、もちろん“お仕事”に掛けていますよ。言葉遊びをしただけなんですけどねえ。
彼女が私の発言を真に受けていたなんて知りませんでした。
彼女と親しい人間関係について?
うーん、私はほら、異性で年齢も離れているから、彼女の人間関係についてはそこまで……。
同期のみんなとはそれなりに仲が良かったし、特に一つ上の東野とは懇意にしているようでしたけどね。恋人と学生時代の友人関係についてはあまり。
でも、亡くなったときにメモがあったんですよね。
『あのひとのところへいく』って。
彼女のご両親は健在だし、兄弟はいなかったと思いますよ。その辺は間違いないです。
だからやっぱり恋人じゃないですか?
後追いなんて、優秀な彼女がどうしてどんなことを……。



