横浜市旭区役所へ行く通りは、いつも車で混んでいる。途中おいしそうなファーストフード店や、ラーメン店もあった。大田は仕事を忘れそうになったが、三澤と有田の顔を見て、思い直した。大田は、いつも落ちぶれていた。若い頃は太ってなかったみたいだが、度重なるストレスで今の体型になったらしい。そんな大田の直感力だけは、捨てられない物がある。これは有田が常々感じていた物だった。
有田は、努力の虫だった。彼は抽象的に言われるのが苦手だった。分からないことは、読書し、ネット検索して答えを見つけてきた。だが彼は元来、読書が苦手だった。特に小説は苦手だった。なぜなら行間を読むのが彼は苦手だったからだ。もっと作者には、具体的に書いて欲しい。そう思わずにはいられなかった。昨今の読書離れには、様々な要因があると思うが、有田は作家がもっと具体的に書けばいいと思っていた。なぜなら読書が苦手な人にとって、いきなり行間を読むのは至難の業である。読書に慣れている人なら、行間を読むことはできるだろう。しかし世の中の大半、特に現代日本では、読書離れが進んでいる。有田はその原因に、作家、小説家の傲慢があるように思えてならなかった。作家、小説家がもっと、読書嫌いの人たちのことも考えて文章を書かないといけないと思っていたのだ。彼らが、自分の文章に酔えば酔うほど、読書離れは進むだろう。もっと、読書嫌いの人間にも分かる文章を書いて欲しいと、有田は願っていた。そんな有田は度々難しい文学にも挑戦したが、彼の特徴と、作家の傲慢が彼を読書嫌いにした。唯一シャーロック・ホームズだけが、彼の愛読書になった。ミステリー小説は、途中は曖昧だが、最後は答えが必ずある。
そんなこんなで、旭区役所に到着した三人は、菅沼弘和に面会した。
「菅沼さん、S小学校の理科教師の多田智弘さんに、放課後の学校の屋上で養蜂を許可したのはあなたですね?」
三澤は静かに言った。
「これは任意の事情聴取ですよね? あなたたちは、捜査を裏からサポートする、まあいわば二軍選手ってところでしょ?」
「なんだと!」
大田はかっとなった。
「まあまあ大田君。落ち着いて」
三澤は、いつものごとく、大田をなだめた。
「そうだぞ、大田。チームプレーだよ」
同様に有田も大田をなだめた。有田にも分かっていた。いつもこの三人はチームで束になって、犯人を追い詰めてきたからだ。
「すみません」
大田は二人に謝罪した。
「菅沼さん!」
だが珍しく、いつも冷静沈着な三澤が声を荒げた。一瞬菅沼は沈黙したが、すぐに笑顔になった。菅沼はスキンヘッドのおじさんだった。
「任意の事情聴取なら、話しません」
「そうですか、分かりました。いつか尻尾を掴みますから」
有田は、そう冷静沈着に言って席を立った。
その後三人は、本屋へと立ち寄った。
「有田君、本屋は最近減ってきているな。まだ都会はいいものだが、過疎地では本屋どころじゃないね!」
三澤は何気なく言った。
「それですよ! 三澤さん、有田君!」
大田は何かを直感的に感じたらしい。
有田は、努力の虫だった。彼は抽象的に言われるのが苦手だった。分からないことは、読書し、ネット検索して答えを見つけてきた。だが彼は元来、読書が苦手だった。特に小説は苦手だった。なぜなら行間を読むのが彼は苦手だったからだ。もっと作者には、具体的に書いて欲しい。そう思わずにはいられなかった。昨今の読書離れには、様々な要因があると思うが、有田は作家がもっと具体的に書けばいいと思っていた。なぜなら読書が苦手な人にとって、いきなり行間を読むのは至難の業である。読書に慣れている人なら、行間を読むことはできるだろう。しかし世の中の大半、特に現代日本では、読書離れが進んでいる。有田はその原因に、作家、小説家の傲慢があるように思えてならなかった。作家、小説家がもっと、読書嫌いの人たちのことも考えて文章を書かないといけないと思っていたのだ。彼らが、自分の文章に酔えば酔うほど、読書離れは進むだろう。もっと、読書嫌いの人間にも分かる文章を書いて欲しいと、有田は願っていた。そんな有田は度々難しい文学にも挑戦したが、彼の特徴と、作家の傲慢が彼を読書嫌いにした。唯一シャーロック・ホームズだけが、彼の愛読書になった。ミステリー小説は、途中は曖昧だが、最後は答えが必ずある。
そんなこんなで、旭区役所に到着した三人は、菅沼弘和に面会した。
「菅沼さん、S小学校の理科教師の多田智弘さんに、放課後の学校の屋上で養蜂を許可したのはあなたですね?」
三澤は静かに言った。
「これは任意の事情聴取ですよね? あなたたちは、捜査を裏からサポートする、まあいわば二軍選手ってところでしょ?」
「なんだと!」
大田はかっとなった。
「まあまあ大田君。落ち着いて」
三澤は、いつものごとく、大田をなだめた。
「そうだぞ、大田。チームプレーだよ」
同様に有田も大田をなだめた。有田にも分かっていた。いつもこの三人はチームで束になって、犯人を追い詰めてきたからだ。
「すみません」
大田は二人に謝罪した。
「菅沼さん!」
だが珍しく、いつも冷静沈着な三澤が声を荒げた。一瞬菅沼は沈黙したが、すぐに笑顔になった。菅沼はスキンヘッドのおじさんだった。
「任意の事情聴取なら、話しません」
「そうですか、分かりました。いつか尻尾を掴みますから」
有田は、そう冷静沈着に言って席を立った。
その後三人は、本屋へと立ち寄った。
「有田君、本屋は最近減ってきているな。まだ都会はいいものだが、過疎地では本屋どころじゃないね!」
三澤は何気なく言った。
「それですよ! 三澤さん、有田君!」
大田は何かを直感的に感じたらしい。



