「大嶋さん、結局僕の勘違いでしたね。二発目の毒針なんてなかった」
有田は言った。
「いや、あの人はスズメバチに刺されたことは一回だけある。恵子さんの言った通り、結婚前の話だよ」
大嶋は答えた。
「じゃあ、半分は合っていたのか」
有田は頷いた。
「だがな、有田」
大嶋は再び口を開いた。
「はい、大嶋さん」
有田は答えた。
「今回は、頭でっかちになってしまったな。確かに、スズメバチに刺された後のアナフィキラシーショックは、二回目がひどい。しかし三十年以上前に刺されたものは、もう身体の中には残っていない可能性のほうが高い。それといくら犬の嗅覚がいいとはいえ、あれも少し拡大解釈したみたいだな」
大嶋は付け加えて言った。
「じゃあ、大嶋さんは気づいていて、あえて僕に推理させていたのですか?」
有田は泣きそうな顔になりながら言った。
「まあ、一つ一つが勉強だ。いい勉強になっただろ?」
大嶋は有田をなだめた。
「意地悪だな、大嶋さんは! もう!」
有田は内心、反省しながら言った。
完
有田は言った。
「いや、あの人はスズメバチに刺されたことは一回だけある。恵子さんの言った通り、結婚前の話だよ」
大嶋は答えた。
「じゃあ、半分は合っていたのか」
有田は頷いた。
「だがな、有田」
大嶋は再び口を開いた。
「はい、大嶋さん」
有田は答えた。
「今回は、頭でっかちになってしまったな。確かに、スズメバチに刺された後のアナフィキラシーショックは、二回目がひどい。しかし三十年以上前に刺されたものは、もう身体の中には残っていない可能性のほうが高い。それといくら犬の嗅覚がいいとはいえ、あれも少し拡大解釈したみたいだな」
大嶋は付け加えて言った。
「じゃあ、大嶋さんは気づいていて、あえて僕に推理させていたのですか?」
有田は泣きそうな顔になりながら言った。
「まあ、一つ一つが勉強だ。いい勉強になっただろ?」
大嶋は有田をなだめた。
「意地悪だな、大嶋さんは! もう!」
有田は内心、反省しながら言った。
完



