台風一過、晴れた秋空の下、三澤(みさわ)隆(たかし)刑事は大きないびきをかいて寝ていた。その横で、大田(おおた)大輔(だいすけ)刑事は弁当を食い、有田(ありた)悟(さとる)刑事は本を読んでいた。三澤隆刑事は、カバのような顔をして、眼鏡をかけた五十代後半の男だった。大田大輔刑事は、大食らいで弁当を食い終わっても、まだ食べ足りない様子だった。そんな二人を尻目に見て、勉強熱心な丸顔で眼鏡をかけた有田悟刑事は読書に耽っていた。
「有田君、君の弁当少し分けてくれないかい? 君さっきから弁当に手をつけていないじゃないか?」
「え、今食べ終わったのでは?」
「いや、そうだけど、まだお腹が鳴っている」
「君は腹八分目という言葉を聞いたことがないのかい? このままじゃ糖尿病になるよ」
大田は、ぽっこり出たお腹を撫でながら言った。
「もう糖尿病って診断された」
あきれた顔で有田は、大田を見つめ直した。
「そしたら食べてしまったものは、胃から取り出せない。今から運動しないとだね!」
大田はがっくりしたようだ。
「それはそうと、有田君、さっきから何を読んでいるのかね?」
「シャーロック・ホームズの冒険だよ」
「シャーロック・ホームズ?」
「ああ、そうだよ」
「それ、読んでもお腹は満たされないよね?」
大田は、意地悪に言った。
「でも、知識欲は満たされる」
有田は、満足げに言った。
そんな二人のやりとりを聞いていたのか、三澤は起き上がり言った。
「君たち今さっき、折り紙を身体に着けて飛んでいる、スズメバチを見なかったかい?」
「三澤さん、起きていたのですか?」
有田は、びっくりした。
「あ、そう言えば弁当を食っているとき、飛んでいたな」
大田は言った。
「そうだったのですか? これは面白いことを誰かがやっていますね!」
有田は、いかにも興味津々そうに言った。
「そうだよ! シャーロック・ホームズも言っているが、見ることと観察することは違う。有田君はそこに気がついている。大田君もただ見ているだけじゃなく、よく観察してごらん?」
「三澤刑事殿、弁当の味が良すぎて、見る方が疎かになっていました」
大田はでかい口を開けて言った。
「見るじゃなく、観察する。よく覚えておきなさい」
三澤は、物思いに耽っている様子で言った。
大田は何かを察したのか、急に慌てふためいた。
「もしかしてこれって、事件とか!」
「そうだね」
三澤は、部下が気づくのを待っていた。
「それじゃあ、まずは現場に行きましょう」
有田は言った。
「有田君、君の弁当少し分けてくれないかい? 君さっきから弁当に手をつけていないじゃないか?」
「え、今食べ終わったのでは?」
「いや、そうだけど、まだお腹が鳴っている」
「君は腹八分目という言葉を聞いたことがないのかい? このままじゃ糖尿病になるよ」
大田は、ぽっこり出たお腹を撫でながら言った。
「もう糖尿病って診断された」
あきれた顔で有田は、大田を見つめ直した。
「そしたら食べてしまったものは、胃から取り出せない。今から運動しないとだね!」
大田はがっくりしたようだ。
「それはそうと、有田君、さっきから何を読んでいるのかね?」
「シャーロック・ホームズの冒険だよ」
「シャーロック・ホームズ?」
「ああ、そうだよ」
「それ、読んでもお腹は満たされないよね?」
大田は、意地悪に言った。
「でも、知識欲は満たされる」
有田は、満足げに言った。
そんな二人のやりとりを聞いていたのか、三澤は起き上がり言った。
「君たち今さっき、折り紙を身体に着けて飛んでいる、スズメバチを見なかったかい?」
「三澤さん、起きていたのですか?」
有田は、びっくりした。
「あ、そう言えば弁当を食っているとき、飛んでいたな」
大田は言った。
「そうだったのですか? これは面白いことを誰かがやっていますね!」
有田は、いかにも興味津々そうに言った。
「そうだよ! シャーロック・ホームズも言っているが、見ることと観察することは違う。有田君はそこに気がついている。大田君もただ見ているだけじゃなく、よく観察してごらん?」
「三澤刑事殿、弁当の味が良すぎて、見る方が疎かになっていました」
大田はでかい口を開けて言った。
「見るじゃなく、観察する。よく覚えておきなさい」
三澤は、物思いに耽っている様子で言った。
大田は何かを察したのか、急に慌てふためいた。
「もしかしてこれって、事件とか!」
「そうだね」
三澤は、部下が気づくのを待っていた。
「それじゃあ、まずは現場に行きましょう」
有田は言った。



