「律先輩って俺のこと好きだったんですか? い、いつから? 理由は?」
落ち着いてから二人で向き合っていると、心がムズムズする。
でも、どうしても聞いておきたかった。だって、まだ信じられないんだ。律先輩が俺を好きだなんて。
律先輩は照れ隠しのように微笑むと、俺のことを抱き寄せた。
「最初から好意はあったんだよ。研究へのやる気が微妙で俺に似てる子だなー、力になってあげたいなー。先輩にしてもらったことをこの子に返したいなって。だけど好きだなって思ったのは、駅でビンタされているところを見られた日かな」
「え?」
意外な答えだ。
見られるのに興奮したってことだろうか、と一瞬だけ変な妄想をしてしまう。
「ほら、保冷剤くれて『信じる』って言ってくれたでしょ? 嬉しかったんだよねー」
「そんなことですか?」
意外な答えに意外な理由。全然ピンとこなかった。
「俺にとっては重要なことだったのー。それにね、ハルくんは裏表がないし、いつも美味しいそうに俺のご飯を食べてくれるし、俺との話に心から笑ってくれるし、笑った顔が可愛いし……」
「ス、ストップ!」
俺は思わず律先輩の口を手でふさぐ。止めなければ褒め殺しをされてしまう。
今の自分には致死量過ぎる言葉だ。
律先輩は俺の腕を掴むと満足そうに笑っている。
「そう言うハルくんはどうだったのさ。俺のこと、いつから好きだったの? 理由は?」
「……気がついたら好きだったんです。いつとかないです!」
「えー隠してない?」
「隠してません! だって律先輩、最初からすっ、素敵だったし……」
話している内に羞恥心が湧き上がってくる。
何を言おうとしていたんだ、俺は!
「ははは、何それー。まあいいや。今日はハルくんの気持ちが聞けて気分がいいし」
「もう勘弁してください……」
「しょーがないなー」
先輩は立ち上がると冷蔵庫を指さした。「せっかくだし、食べるよね?」と。
「はい、酔いさましのスープ。って、もう酔いはさめてるよね?」
慣れた手つきで作ってくれたのは、いつものオニオンスープだった。
いつもの味が俺をホッとさせてくれる。
「律先輩、このオニオンスープ好きですよね?」
「これはね、律スペシャルなの。結構気に入ってるんだ」
美味しいでしょ、と自慢げな律先輩が可愛い。
でも、ちょっと引っかかることがあった。
「前からよく飲んでたって、大河内さんが言ってましたもんね」
こんなことを言う俺は、まったく可愛げがない。
俺ってこんなに細かいことが気になる性格だったんだ。
「お、妬いてくれてる? ふふん、先輩と飲んでたのは単なるコンソメスープ。これはもっと特別。ほら、トーストとチーズが入ってて、オニオングラタンスープ風でしょ? 先輩が卒業した後に発明したスープだし、ハルくんにしか振舞ったことないよ。だから、ハルくんとの思い出スープなの」
……こんなことで機嫌が良くなってしまうのだから、どうしようもない。
どうしようもないけれど、律先輩が受け入れてくれるのだから、良しとしよう。
「美味しいです」
「でしょー。またいつでも作ってあげる」
「はい、是非」
深夜、研究室で、二人で笑い合って口づけをする。
口が触れ合ったキスは、いつもの美味しい味がした。
【完】
落ち着いてから二人で向き合っていると、心がムズムズする。
でも、どうしても聞いておきたかった。だって、まだ信じられないんだ。律先輩が俺を好きだなんて。
律先輩は照れ隠しのように微笑むと、俺のことを抱き寄せた。
「最初から好意はあったんだよ。研究へのやる気が微妙で俺に似てる子だなー、力になってあげたいなー。先輩にしてもらったことをこの子に返したいなって。だけど好きだなって思ったのは、駅でビンタされているところを見られた日かな」
「え?」
意外な答えだ。
見られるのに興奮したってことだろうか、と一瞬だけ変な妄想をしてしまう。
「ほら、保冷剤くれて『信じる』って言ってくれたでしょ? 嬉しかったんだよねー」
「そんなことですか?」
意外な答えに意外な理由。全然ピンとこなかった。
「俺にとっては重要なことだったのー。それにね、ハルくんは裏表がないし、いつも美味しいそうに俺のご飯を食べてくれるし、俺との話に心から笑ってくれるし、笑った顔が可愛いし……」
「ス、ストップ!」
俺は思わず律先輩の口を手でふさぐ。止めなければ褒め殺しをされてしまう。
今の自分には致死量過ぎる言葉だ。
律先輩は俺の腕を掴むと満足そうに笑っている。
「そう言うハルくんはどうだったのさ。俺のこと、いつから好きだったの? 理由は?」
「……気がついたら好きだったんです。いつとかないです!」
「えー隠してない?」
「隠してません! だって律先輩、最初からすっ、素敵だったし……」
話している内に羞恥心が湧き上がってくる。
何を言おうとしていたんだ、俺は!
「ははは、何それー。まあいいや。今日はハルくんの気持ちが聞けて気分がいいし」
「もう勘弁してください……」
「しょーがないなー」
先輩は立ち上がると冷蔵庫を指さした。「せっかくだし、食べるよね?」と。
「はい、酔いさましのスープ。って、もう酔いはさめてるよね?」
慣れた手つきで作ってくれたのは、いつものオニオンスープだった。
いつもの味が俺をホッとさせてくれる。
「律先輩、このオニオンスープ好きですよね?」
「これはね、律スペシャルなの。結構気に入ってるんだ」
美味しいでしょ、と自慢げな律先輩が可愛い。
でも、ちょっと引っかかることがあった。
「前からよく飲んでたって、大河内さんが言ってましたもんね」
こんなことを言う俺は、まったく可愛げがない。
俺ってこんなに細かいことが気になる性格だったんだ。
「お、妬いてくれてる? ふふん、先輩と飲んでたのは単なるコンソメスープ。これはもっと特別。ほら、トーストとチーズが入ってて、オニオングラタンスープ風でしょ? 先輩が卒業した後に発明したスープだし、ハルくんにしか振舞ったことないよ。だから、ハルくんとの思い出スープなの」
……こんなことで機嫌が良くなってしまうのだから、どうしようもない。
どうしようもないけれど、律先輩が受け入れてくれるのだから、良しとしよう。
「美味しいです」
「でしょー。またいつでも作ってあげる」
「はい、是非」
深夜、研究室で、二人で笑い合って口づけをする。
口が触れ合ったキスは、いつもの美味しい味がした。
【完】



