翌日の夕方、研究室の中はいつもと様子が違っていた。
部屋の真ん中にレジャーシートが敷かれ、その上にはちゃぶ台や座布団が置かれている。
しかも今日は律先輩と二人きりじゃない。
「今日の主役は山村くんだから、ゆったり座っていなさいね」
俺の目の前では石橋教授がホットプレートを置きながら、ニコニコしている。
「そうだよー。今日はハルくんの歓迎会なんだから」
「歓迎会って、もう秋ですけど……」
「いやー、教授が忙しくてなかなか捕まらなかったんだよね」
「悪いねえ。いくつか査読を頼まれてバタバタしちゃってて」
俺の戸惑いなど気にせず、二人は楽しげに準備をしている。ちゃぶ台には細かく刻まれた薬味ねぎや紅ショウガ。それにタコが並べられている。
これは……。
「教授、ホットプレートにこれ乗せちゃってください」
「はいはい」
教授がホットプレートに付属のパーツを取り付けると、それは立派なたこ焼き機になっていた。
「山村くんはたこ焼き好き?」
「まぁ、はい」
「じゃあ張り切って焼いていこうね。桜庭くんより丸めるのは得意だよ」
「えー? 俺の方が教授より上手いですって!」
律先輩が天かすと生地を持ってくると、なし崩し的にタコパが始まった。
「はら、山村くん。遠慮しないでどんどん食べてね。若い子はいっぱい食べないと」
「あ、ありがとうございます」
紙皿にどんどんと積まれていくたこ焼きは、本当に美味しそうだった。
教授の意外な特技に驚きながら一つ口に運ぶ。
「熱っ……! はふっ、美味しいです。教授、こんなに美味しいならもっと早く食べたかったです」
「呼んでくれたらいつでも作るよ。山村くんが卒業するまでに何回やれるかな」
教授は嬉しそうにたこ焼きをクルクルとひっくり返す。
律先輩をちらりと見ると、彼は美味しそうにたこ焼きを頬張りながら頷いた。「今だよ」と言われているみたいだ。
そう、俺は教授に言わなければならないことがある。
今日は俺の歓迎会と言いつつ、このために律先輩が教授を呼び出してくれたのだから。
部屋の真ん中にレジャーシートが敷かれ、その上にはちゃぶ台や座布団が置かれている。
しかも今日は律先輩と二人きりじゃない。
「今日の主役は山村くんだから、ゆったり座っていなさいね」
俺の目の前では石橋教授がホットプレートを置きながら、ニコニコしている。
「そうだよー。今日はハルくんの歓迎会なんだから」
「歓迎会って、もう秋ですけど……」
「いやー、教授が忙しくてなかなか捕まらなかったんだよね」
「悪いねえ。いくつか査読を頼まれてバタバタしちゃってて」
俺の戸惑いなど気にせず、二人は楽しげに準備をしている。ちゃぶ台には細かく刻まれた薬味ねぎや紅ショウガ。それにタコが並べられている。
これは……。
「教授、ホットプレートにこれ乗せちゃってください」
「はいはい」
教授がホットプレートに付属のパーツを取り付けると、それは立派なたこ焼き機になっていた。
「山村くんはたこ焼き好き?」
「まぁ、はい」
「じゃあ張り切って焼いていこうね。桜庭くんより丸めるのは得意だよ」
「えー? 俺の方が教授より上手いですって!」
律先輩が天かすと生地を持ってくると、なし崩し的にタコパが始まった。
「はら、山村くん。遠慮しないでどんどん食べてね。若い子はいっぱい食べないと」
「あ、ありがとうございます」
紙皿にどんどんと積まれていくたこ焼きは、本当に美味しそうだった。
教授の意外な特技に驚きながら一つ口に運ぶ。
「熱っ……! はふっ、美味しいです。教授、こんなに美味しいならもっと早く食べたかったです」
「呼んでくれたらいつでも作るよ。山村くんが卒業するまでに何回やれるかな」
教授は嬉しそうにたこ焼きをクルクルとひっくり返す。
律先輩をちらりと見ると、彼は美味しそうにたこ焼きを頬張りながら頷いた。「今だよ」と言われているみたいだ。
そう、俺は教授に言わなければならないことがある。
今日は俺の歓迎会と言いつつ、このために律先輩が教授を呼び出してくれたのだから。



