ぼんやりと先輩を眺めていると、いい匂いが漂ってきた。
料理も上手いよなあ。モテるのも納得しかない。
「律先輩」
「なにー?」
「今日みたいにナンパされることってよくあるんですか?」
俺が何気なく声を掛けると、ガチャンと食器の音が大きく響いた。
食器は割れていないようだけど、律先輩はなぜか驚いた様子で俺を見ていた。
「やだな―ないってば。この間も言ったけど、俺は女の子と遊ぶなんて全然しないの! あ、信じてくれてない?」
「……でも、律先輩モテますよね」
「そんなのね、好きな人に振り向いてもらえないんじゃ意味無いのー。ほら、もう出来上がるからご飯が不味くなるお話はおしまいです!」
食べるよ、と差し出されたラーメン皿からは湯気が立ちのぼっている。
中を見ると、そこにはインスタント麺はなかった。
「今日は、焼きそば麺を使ったなんちゃって豚骨ラーメンです。煮玉子はないけど、電子レンジで作った半熟玉子をいれてみましたー」
クリーミーな乳白色のスープは本当に豚骨のようだった。
上に乗っているトッピングも半熟玉子や白ごまが増え、前よりも進化している。
「すごい……」
「食べて食べてー!」
「い、いただきますっ」
まずはスープを一口。
まろやかでコクのあるスープが食欲をそそる。口の中で本当に豚骨スープのような味が広がった。
「豚骨だっ……。すごく美味しいです。でも、あっさりしてていくらでも食べられそう。口あたりも優しいですね」
「だよね。それに、焼きそば麺がちゃんとラーメンになってる」
「これは大発見ですよ! 色んな味を試したいし、トッピングも変えてみたいです」
替え玉分の焼きそば麺も買えば良かった。
俺が夢中になって食べていると、律先輩は目を細めてふにゃりと微笑んだ。
「良かったあ。ハルくん元気になった」
心底安心したような声。
その時、俺はようやく律先輩を心配させていたのだと気がついた。
「すみません……」
「ううん。ハルくんに嫌な役回りさせちゃったのは俺だから。ごめんね。それにありがとう」
「ははは、本当はもっと格好良く助けたかったですけど」
冗談っぽく言うと、律先輩は俺の手をギュッと握ってきた。
「マジで格好良かったよ! あーあ、ハルくんみたいな子だったら、大歓迎なんだけどなー」
律先輩はいつもみたいにふざけていて、俺もようやく力が抜けた。
「そんなことばっかり言って……俺が好きって言ったら付き合ってくれるんですか?」
「どうだろ? ハルくん可愛いからオッケーしちゃうかな!」
先輩と冗談を言い合って、二人で笑い合う。
心の底から笑えて幸せだった。
今日のことはきっと忘れないと思う。
でもきっと、律先輩に本当に好きだって伝えたら、「えー勘違いちゃったの? 困るなー」とか言われるんだろうな。
料理も上手いよなあ。モテるのも納得しかない。
「律先輩」
「なにー?」
「今日みたいにナンパされることってよくあるんですか?」
俺が何気なく声を掛けると、ガチャンと食器の音が大きく響いた。
食器は割れていないようだけど、律先輩はなぜか驚いた様子で俺を見ていた。
「やだな―ないってば。この間も言ったけど、俺は女の子と遊ぶなんて全然しないの! あ、信じてくれてない?」
「……でも、律先輩モテますよね」
「そんなのね、好きな人に振り向いてもらえないんじゃ意味無いのー。ほら、もう出来上がるからご飯が不味くなるお話はおしまいです!」
食べるよ、と差し出されたラーメン皿からは湯気が立ちのぼっている。
中を見ると、そこにはインスタント麺はなかった。
「今日は、焼きそば麺を使ったなんちゃって豚骨ラーメンです。煮玉子はないけど、電子レンジで作った半熟玉子をいれてみましたー」
クリーミーな乳白色のスープは本当に豚骨のようだった。
上に乗っているトッピングも半熟玉子や白ごまが増え、前よりも進化している。
「すごい……」
「食べて食べてー!」
「い、いただきますっ」
まずはスープを一口。
まろやかでコクのあるスープが食欲をそそる。口の中で本当に豚骨スープのような味が広がった。
「豚骨だっ……。すごく美味しいです。でも、あっさりしてていくらでも食べられそう。口あたりも優しいですね」
「だよね。それに、焼きそば麺がちゃんとラーメンになってる」
「これは大発見ですよ! 色んな味を試したいし、トッピングも変えてみたいです」
替え玉分の焼きそば麺も買えば良かった。
俺が夢中になって食べていると、律先輩は目を細めてふにゃりと微笑んだ。
「良かったあ。ハルくん元気になった」
心底安心したような声。
その時、俺はようやく律先輩を心配させていたのだと気がついた。
「すみません……」
「ううん。ハルくんに嫌な役回りさせちゃったのは俺だから。ごめんね。それにありがとう」
「ははは、本当はもっと格好良く助けたかったですけど」
冗談っぽく言うと、律先輩は俺の手をギュッと握ってきた。
「マジで格好良かったよ! あーあ、ハルくんみたいな子だったら、大歓迎なんだけどなー」
律先輩はいつもみたいにふざけていて、俺もようやく力が抜けた。
「そんなことばっかり言って……俺が好きって言ったら付き合ってくれるんですか?」
「どうだろ? ハルくん可愛いからオッケーしちゃうかな!」
先輩と冗談を言い合って、二人で笑い合う。
心の底から笑えて幸せだった。
今日のことはきっと忘れないと思う。
でもきっと、律先輩に本当に好きだって伝えたら、「えー勘違いちゃったの? 困るなー」とか言われるんだろうな。



