研究室でご飯を。君と。

「ハルくんはねー、研究所っぽい! 研究所で働く姿、いいと思うなー」
「いやいやいや研究所って……研究者はないでしょ」

 夜、特に用事もなく訪れた研究室には、当然のように律先輩がいた。
 律先輩は俺を見るなり、「なんか難しー顔してるよ?」と言ってきたものだから、つい話してしまったのだ。全然就活がうまくいかないこと。自分がどんな仕事をしたいのか分からないこと――。

「気づいてないかもしれないけど、ハルくんって、中々研究者気質だよ」
「細かいところを気にしすぎってことですか?」

 律先輩は「煮詰まってるなー」と笑いながら、俺の頭をワシワシと撫でた。

「どれどれ、律先輩が可愛い後輩のエントリーシートを見てあげよう」
「さっき学生課で見てもらいましたけど」
「甘いな、ハルくん。見ず知らずの学生課職員より、俺の方がハルくんの長所たくさん知ってるんだからね!」

 律先輩の言い分に口角が上がりそうになる。
 俺は顔を隠すようにしてパソコンを開いた。

 そうして就活情報サイトのマイページを開いて律先輩に見せた。

「じゃあ……お願いします」
「まかせてー!」

 律先輩は学生課の職員とは違った視点でアドバイスをくれた。
 色んなエピソードを交えながら俺の長所が仕事でどんな役に立つかを考えてくれたり、それが志望動機とうまく繋がるようにしてくれた。

 ついでにおススメの企業をいくつか紹介してくれた。
 とりあえず紹介された企業のエントリーボタンを押しておく。

「どう? イケそうな気がしない?」
「はい。ありがとうございます」

 さっきまで腹の底に疼いていた不安が少しだけ軽くなった気がした。
 先輩の言葉は不思議だ。いつだって俺の気分を明るくしてくれる。

「律先輩って、意外と頼もしいですね」
「気づくの遅くない!? 俺は最初っから頼もしかったでしょ?」
「確かに、そうでした」

 いつもありがとうございます、と頭を下げると律先輩は本気で照れていた。

「ハルくんが急にデレるとっ……照れるって!」
「俺はいつも正直ですけどね」
「もー! 素直なハルくんは可愛いけど、破壊力あり過ぎ」

 いつも俺ばかりが感情を掻き乱されているから、照れている律先輩をみられたのは嬉しかった。

「本当に感謝してますって。俺、頑張りますから」

 律先輩の協力に応えるためにも。