「ねえねえ聞いてよ、すっごく面白い話があるんだ」
わたしは今日仲良くなったばかりの子に話をふる。今はとりあえず、恋バナの真っ最中。その子は「何々?」と興味津々だ。
「これはとある人から聞いた話なんだけどね、とある霊感のある女の子が、幽霊の青年と出会って恋をしたんだ」
「え、何それ何それ!」
興奮を抑えきれない彼女を横に、わたしは続ける。
「でね、その女の子は成仏したいと願う青年のために奔走して、無事成仏した……でも、彼のことが好きだった女の子は絶望して身投げしようとしたところを、その青年の妹に救われるの」
「ガチか! ベタだけど燃える展開きた!」
テンションが最高潮に上がったその子は、「で、結局どうなるの?」と結論を急いだ。
「で、その女の子は青年への思いを秘めて生きていくんだけど、ある日なんと、その青年の幽霊と再会するの!」
「マジで!? じゃあ、その青年は成仏してなかったってこと?」
「そうなの、どうやら青年の方も、その女の子のことが好きになってしまったらしくて、今度はそっちが未練になっちゃたらしい。で、今はその女の子の守護霊として、いつかふたりで死後の世界へ行こうって約束したの」
「これでこのお話はおしまい」と、物語を締めくくると、彼女は黄色い悲鳴を上げながら、両頬に手を添えて悶えた。「つまりそれは、ふたりの愛の物語なんだね! というか、それって実話? 実話なの?」
わたしは少し間を置いた。そして、とびきりの笑顔を作って、
「えへへ、それは秘密だよ!」
と答えた。
わたし——見上空美は、今日もこの素敵なお話をみんなに教えていく。
お兄ちゃんと美歌ちゃんの愛が、未来永劫続くように。
将来美歌ちゃんが、本当の永遠の花嫁になれるように。
わたしは今日仲良くなったばかりの子に話をふる。今はとりあえず、恋バナの真っ最中。その子は「何々?」と興味津々だ。
「これはとある人から聞いた話なんだけどね、とある霊感のある女の子が、幽霊の青年と出会って恋をしたんだ」
「え、何それ何それ!」
興奮を抑えきれない彼女を横に、わたしは続ける。
「でね、その女の子は成仏したいと願う青年のために奔走して、無事成仏した……でも、彼のことが好きだった女の子は絶望して身投げしようとしたところを、その青年の妹に救われるの」
「ガチか! ベタだけど燃える展開きた!」
テンションが最高潮に上がったその子は、「で、結局どうなるの?」と結論を急いだ。
「で、その女の子は青年への思いを秘めて生きていくんだけど、ある日なんと、その青年の幽霊と再会するの!」
「マジで!? じゃあ、その青年は成仏してなかったってこと?」
「そうなの、どうやら青年の方も、その女の子のことが好きになってしまったらしくて、今度はそっちが未練になっちゃたらしい。で、今はその女の子の守護霊として、いつかふたりで死後の世界へ行こうって約束したの」
「これでこのお話はおしまい」と、物語を締めくくると、彼女は黄色い悲鳴を上げながら、両頬に手を添えて悶えた。「つまりそれは、ふたりの愛の物語なんだね! というか、それって実話? 実話なの?」
わたしは少し間を置いた。そして、とびきりの笑顔を作って、
「えへへ、それは秘密だよ!」
と答えた。
わたし——見上空美は、今日もこの素敵なお話をみんなに教えていく。
お兄ちゃんと美歌ちゃんの愛が、未来永劫続くように。
将来美歌ちゃんが、本当の永遠の花嫁になれるように。



