君の愛もいらない




 あの日はそう、冷たい雨が降っていた。
 僕の熱をじんわりと奪っていくような雨だ。
 そんな雨の中を、彼は独りで走り去っていった。
 僕が差し出した傘も受け取らずに。
 そして僕は、小さくなっていく背中を見つめることしかできなかった。