「これから、百億光年先の私の育った星、惑星Nがたどった悲惨な運命を話すわ」
セイラは悲しそうな目で話し始めた。
「私の父高岡雄二から聞いた話よ」
「セイラ、今から言うことを百億光年先の未来の地球という惑星に行って、核戦争で滅んだわが惑星Nのことを伝えてくれ。そして地球で同じことが起きないように警告してきてくれ」
「この惑星Nは、水の惑星だった。高度な文明も持ち合わせていたがゆえに、滅んだ。私はいわゆる戦後生まれの人間だった。この国J国は、唯一の被爆国家だった。だから私の父、高岡俊二はいつも悩んでいた。隣国や世界が、危うい力による平和を掲げて、どんどん核兵器を製造する世の中になった。初めは大国だけのことであったが、次第にある戦争をきっかけに小国まで核武装する羽目になってしまった。そんな中わがJ国は、アタリヤ合衆国に守られてきた。
ある時、隣国の北豚汁 豚汁民主主義人民共和国が、秘密裏に核兵器を開発したと発表した。この国は、貧しいにもかかわらず、夏でも豚汁を強制して食べさせられる国だった。その北豚汁が、核兵器を開発したことにより、核の国際バランスが崩れようとしていた。わが父は、J国総理大臣として、また唯一の被爆者総理だった。そんなものだから、簡単にJ国を核武装させられない。なぜなら親父自身が被爆者で、その苦しみを一番よく知っていたからだ。
しかし世論は、親父の政治姿勢では、J国は守れないと、野党第一党の民衆党から追及された。しかしいつも親父を批判するのは、戦後生まれで核兵器の恐ろしさを知らない世代の奴らだった。質(たち)が悪い。親父は考え方が古いと、民衆党の幹部から指摘されていた。しかし親父は頑として、核武装だけはしないという姿勢を崩さなかった。そんな親父は、いつも家でもイライラしていた。その親父をなだめようと、母高岡礼子は一生懸命だった。だが二人とも日に日にやせ細っていった。そんなこんなで私は、十七歳になっていた。そのころだった。親父は、私に勝手に許嫁を紹介してきた。それが、セイラ、お前のお母さんの高岡美奈だったのだ。だが私には他に好きな人がいた。父の言ったことは絶対だったので、しぶしぶ受け入れたが、私はその彼女のことを忘れられなかった。私が好きだった彼女は、AIだったのだ。だから私好みに完璧に作られたロボットだった。しかしこれは、後で分かったことだが、野党民衆党の幹部が私に贈ったものだった。というのも、彼らの主張の一つとして、世襲議員はダメということがあった。だから子供のできないAIに私の気持ちを向けさせるのが狙いだった。そのことに気づいていなかった私は、後に親父の墓前で感謝した」
セイラは悲しそうな目で話し始めた。
「私の父高岡雄二から聞いた話よ」
「セイラ、今から言うことを百億光年先の未来の地球という惑星に行って、核戦争で滅んだわが惑星Nのことを伝えてくれ。そして地球で同じことが起きないように警告してきてくれ」
「この惑星Nは、水の惑星だった。高度な文明も持ち合わせていたがゆえに、滅んだ。私はいわゆる戦後生まれの人間だった。この国J国は、唯一の被爆国家だった。だから私の父、高岡俊二はいつも悩んでいた。隣国や世界が、危うい力による平和を掲げて、どんどん核兵器を製造する世の中になった。初めは大国だけのことであったが、次第にある戦争をきっかけに小国まで核武装する羽目になってしまった。そんな中わがJ国は、アタリヤ合衆国に守られてきた。
ある時、隣国の北豚汁 豚汁民主主義人民共和国が、秘密裏に核兵器を開発したと発表した。この国は、貧しいにもかかわらず、夏でも豚汁を強制して食べさせられる国だった。その北豚汁が、核兵器を開発したことにより、核の国際バランスが崩れようとしていた。わが父は、J国総理大臣として、また唯一の被爆者総理だった。そんなものだから、簡単にJ国を核武装させられない。なぜなら親父自身が被爆者で、その苦しみを一番よく知っていたからだ。
しかし世論は、親父の政治姿勢では、J国は守れないと、野党第一党の民衆党から追及された。しかしいつも親父を批判するのは、戦後生まれで核兵器の恐ろしさを知らない世代の奴らだった。質(たち)が悪い。親父は考え方が古いと、民衆党の幹部から指摘されていた。しかし親父は頑として、核武装だけはしないという姿勢を崩さなかった。そんな親父は、いつも家でもイライラしていた。その親父をなだめようと、母高岡礼子は一生懸命だった。だが二人とも日に日にやせ細っていった。そんなこんなで私は、十七歳になっていた。そのころだった。親父は、私に勝手に許嫁を紹介してきた。それが、セイラ、お前のお母さんの高岡美奈だったのだ。だが私には他に好きな人がいた。父の言ったことは絶対だったので、しぶしぶ受け入れたが、私はその彼女のことを忘れられなかった。私が好きだった彼女は、AIだったのだ。だから私好みに完璧に作られたロボットだった。しかしこれは、後で分かったことだが、野党民衆党の幹部が私に贈ったものだった。というのも、彼らの主張の一つとして、世襲議員はダメということがあった。だから子供のできないAIに私の気持ちを向けさせるのが狙いだった。そのことに気づいていなかった私は、後に親父の墓前で感謝した」