K「え、寝坊? まあそんなことだろうと思ったよ。昨日の晩夜更かしでもしてたのか?」


K「何にハマったって? ごめん、電車の音がうるさくてよく聞こえないや」


K「ああ、夜更かしな。結局何してたのか聞こえねえんだけど。まあいっか。もうすぐテストなのにそんなんで大丈夫かw」


K「そうだな。俺に言われるまでもないよな。お前、頭いいんだし」


K「……? ごめん。また何言ってんのか聞こえねえ」


——ごお、うぎゃぎ、ぎぎ、うう


K「? どうした? 電波が悪いのかな。それとも寝不足でおかしくなっちまったか?」


——はあっ、ふふ、ぎゃぎゃぎゃぐうううう


K「おい、まじで何かあったのか? 今親御さんとかいないんだっけ。家に一人?」


——ゔぁいいいいい、ゔぇ、ゔぇゔぇゔぇゔぇゔぇゔぇ


K「ちょ、梨沙子? 何言ってんだ? おい、おいっ!」


——ツー、ツー、ツー——……


K「切れちまった……。おいおい、本当に何かあったのかよ……。電波立ってないし、単に接続不良か……?」



※Kと「梨沙子」との通話記録はここで途絶えている。
Kと同じ電車に乗っていた人物からは、「Kの通話している最中、電話の向こうからおかしな音——悲鳴とも嗚咽とも表現できない音が聞こえていた。聞くに耐えないので途中からイヤホンをして凌いだ」という証言を得ている。