朝日のまぶしさに目を覚まし、無意識のうちにスマホを開いた。時刻は午前7時半。開いた画面に映し出された結人とのトーク画面に果たして返信は——なかった。

「うわ、もしかして朝まで仕事してんのかな」

 これだけの時間返信も既読もつかないということは、結人もかなり追い込まれている証拠だ。私は、諦めて自分の仕事へと向かう支度を始める。

 その日も立花先生はお休みだった。
 昨日とは違い、空きコマの先生がいたので、合同授業をせずに済んだ。でも、このまま立花先生が休み続けるとさすがに何か策を考えなければいけない。青木先生曰く、彼女から連絡がないそうで、困っているとのこと。

「雪村さんからも連絡とってみてくれへん?」

 青木先生は苦い表情で私にそう告げた。

「はい、連絡してみます。それにしても立花先生が無断で欠席なんて……何かあったんでしょうか」

「俺もちょっと気になっててん。立花先生のことやから、何の連絡もせずに休むなんてことないと思ってんけどな。もしかしたらすごい熱が高くて連絡すら取れへん状態とか、入院しててスマホ見れないとか。まあそれやったらまだいいけど、事故に巻き込まれたりしてへんかって心配やねん」

「そうですね。ただの体調不良ならいいですけど……」

 青木先生は青木先生なりに、立花先生のことをかなり心配している様子だった。立花先生受け持ちの授業をどう回すかを一番気にしているかと思っていたので、意外だ。

「男の俺が連絡するより、雪村さんみたいな歳の近い女の子が連絡する方が何か返信してくれるかもしれへんし、よろしく頼んだよ」

「分かりました」

 青木先生に言われたとおり、私は早速立花先生に連絡を入れてみた。案の定「既読」はすぐにはつかない。夏季合宿から——つまり四日前から休んでいる彼女は、一体今どうしてるのだろうか。
 日を追うごとに心配な気持ちは高まっていく。
 それは、昨日から返信がない結人に対しても同じだった。