そう言うと、彼女はきょとんとした顔をして、ああそうだったと用事を思い出したようだった。
「私、枕崎有紗子っていうの。
君のお兄さんと大学の学部が同じで、友達なのよ」
「うさこ・・・漫画のキャラクターみたいな名前ですね」
僕がつぶやくと、「よく言われるわ」と苦笑される。
すみませんと謝り、自分は総哉の弟の一哉(かずや)ですと自己紹介した。
「それに兄と友達なんですね。大変失礼しました」
今度は頭も下げる。
僕にとって兄はいい意味で絶対的な存在だから。
「相楽君・・・あ、総哉君がね、あなたのことみんなに自慢しているのよ。
『うちの弟、謎解きが得意なんだー!』って」
枕崎さんの話を聞いて、また兄の悪い癖が出ているのかと内心げんなりする。
兄はいつもそうなのだ。
僕に関して、ちょっとしたことでも知らない人に褒めて回ってしまう。
言われた方は反応に困るだろうし、こっちも恥ずかしいからやめてほしいと思っているのだけど、これだけはどうしても止められなくて、とっくの昔に諦めた。
「兄がいつもご迷惑おかけしています」
お詫びに、今しがたもらったばかりのチョコチャンククッキーをくれた本人に返そうかと思ったくらいだ。
しかも、実際は謎解きなんていうご立派なものでは決してない。
恐れ多くて恥ずかしさがよりいっそう募る。
本当、兄には、初対面の女子大生からこんなことを言われて、17歳男子高校生の羞恥心が瀕死状態になることを心底理解してほしいと思う。
「それとですね、謎解きなんて仰々しいものではないので、誤解しないでください」
できれば他の同級生の方にもそう修正して回っていただきたいですということは、さすがに言えなかった。
枕崎さんは僕の訂正を聞いて、軽く慌てたようだった。
「え、そうなの?それは困るな」
「どうしてですか」
「一哉君に解いてほしい謎があるの」
そういうことか・・・。
僕は頭が痛くなってきたような気がした。
水っぽくなってきたアイスカフェラテを一口飲んで、気持ちを切り替える。
「はあ、それはまあ、内容によりますけど・・・」
面倒だったので、話を聞くだけ聞いて「無理です」と言って断ろうと考えた。
そのときはやっぱりクッキーを枕崎さんに返そうと思う。
「私、枕崎有紗子っていうの。
君のお兄さんと大学の学部が同じで、友達なのよ」
「うさこ・・・漫画のキャラクターみたいな名前ですね」
僕がつぶやくと、「よく言われるわ」と苦笑される。
すみませんと謝り、自分は総哉の弟の一哉(かずや)ですと自己紹介した。
「それに兄と友達なんですね。大変失礼しました」
今度は頭も下げる。
僕にとって兄はいい意味で絶対的な存在だから。
「相楽君・・・あ、総哉君がね、あなたのことみんなに自慢しているのよ。
『うちの弟、謎解きが得意なんだー!』って」
枕崎さんの話を聞いて、また兄の悪い癖が出ているのかと内心げんなりする。
兄はいつもそうなのだ。
僕に関して、ちょっとしたことでも知らない人に褒めて回ってしまう。
言われた方は反応に困るだろうし、こっちも恥ずかしいからやめてほしいと思っているのだけど、これだけはどうしても止められなくて、とっくの昔に諦めた。
「兄がいつもご迷惑おかけしています」
お詫びに、今しがたもらったばかりのチョコチャンククッキーをくれた本人に返そうかと思ったくらいだ。
しかも、実際は謎解きなんていうご立派なものでは決してない。
恐れ多くて恥ずかしさがよりいっそう募る。
本当、兄には、初対面の女子大生からこんなことを言われて、17歳男子高校生の羞恥心が瀕死状態になることを心底理解してほしいと思う。
「それとですね、謎解きなんて仰々しいものではないので、誤解しないでください」
できれば他の同級生の方にもそう修正して回っていただきたいですということは、さすがに言えなかった。
枕崎さんは僕の訂正を聞いて、軽く慌てたようだった。
「え、そうなの?それは困るな」
「どうしてですか」
「一哉君に解いてほしい謎があるの」
そういうことか・・・。
僕は頭が痛くなってきたような気がした。
水っぽくなってきたアイスカフェラテを一口飲んで、気持ちを切り替える。
「はあ、それはまあ、内容によりますけど・・・」
面倒だったので、話を聞くだけ聞いて「無理です」と言って断ろうと考えた。
そのときはやっぱりクッキーを枕崎さんに返そうと思う。