基礎練習はバッチリしてから合奏を始めたのに。いざ課題曲を演奏すると音のピッチが驚く程に合っていない。


よくよく耳を済ましてみると、ほとんどの人が音が割れていた。リズムは、主に裏方の方が合っていない。頑張ってはいるけど、どうもワンテンポくらいズレてしまっているのだ。


これじゃあ楽譜通りの練習ができていない。大会となると、これでは地区大会突破もままならないだろう。


それだけは何とかして阻止しなければいけない。1年……いや、約2年ほどの真面目な合奏にブランクはあるから無理もないと思うけど。


……流石にやばい。


私は耳にイヤホンを突っ込み、課題曲と自由曲の音源を聴き込んでいた。課題曲は軽やかに演奏される、マーチ。


自由曲は、日本の“和”をイメージされた曲でこれが結構難しい。おどろおどろしい雰囲気、江戸時代を思わせる曲調。ゆっくりとした速さで進むこの曲。実は早い曲よりも遅い方が難しい。


自由曲は、まさに日本独特のイメージを持った音楽だった。


先生にはこんな自由曲は無理だと楽譜をもらった時に言ったけど変えてはくれなかった。


話し合いをした日に、自由曲を変えてもらおうと話を持ちかけた。けど、この曲で大会に申し込んだから変更はできないと言われてしまった。