進の家に足を運ぶと懐かしいロードバイクやら何やらがまだあった。
瑠璃の家と同じようにドアチャイムを鳴らすとぴしっとしたワイシャツに髪を纏わせた人が出てきた。一瞬、誰かと思ったが進だった。
「よぉ、久しぶり」
向こうは、僕が紘一だってこと知ってたみたいに言った。
そのことに驚きで、しばらく黙っていると進が言った。「おまえ、紘一だろ?」と。
「あ、あぁ。僕は、与野紘一、の生まれ変わりの与野叡。でも、紘一って呼んで。進」
「分かっ、た。会えて、よかった。20年間、瑠璃ちゃんだけじゃない!俺も待ってた!」
「ありが、とう」
しばらく、赤子みたいに泣きじゃくった。
しばらくすると、落ち着いてきて進の状況について聞いた。
「俺、教師やってんだわ」
「進にピッタリ。なんの教科?」
「高校の体育。俺等の学校に3年前赴任してきた」
「すごいね」
「だろ?」
そう言って、屈託なく笑った。
「なぁ、瑠璃は?」
「知らない。ただ、前に海で会ったな。向こうは気付いてなかったけどずっとずっと昔の曲を口ずさんでたな。今思えば、あれ全部紘一の好きな曲だったな」
「そう、なのか?」
「あぁ。瑠璃ちゃん、ずっとお前のこと待ってたと思うぞ。お前が亡くなってから引きこもりになって大学いって定職は就いたけど今も度々お前に会えるようにって思い出のプラネタリウムとか海行ってお前を待ってる。さっさと、行ってきな」
「ありがとう!僕、行ってくる。また、会おうね!」
「あぁ!」
そう言って、進は見送ってくれた。