次はスプーンを持って、湯気を上げた豆スープを口に含む。
冷えた体に、温かさが染みわたっていく。
「おいしい…」
思わずそう声を発してしまうほど、温かいスープは冬に重宝する。
声を出したのは数日ぶりだ。
ずっとこの部屋に籠っていて話し相手もいないし、今のように無意識に出なければ独り言もほとんどない。
子供特有の少し高めな声は、比較する相手がいないので、少し掠れていることに本人は気づいていない。
埃と乾燥、さらに声帯を使わないことの結果である。
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