勤務時間を終えて、バックヤードに入ると、急に後ろから抱きつかれる。


「ねぇ、さっきなにしてたの? 可愛い高校生と密着できて嬉しかった?」

「は?」

「にこにこしちゃってさ。まぁ、若い子の方がいいもんね」


抱きついてきたのは俺の彼女の岬。


なにが言いたいのかよく分からない。


「ずっと言ってるじゃん。俺は岬一筋だよ、って」

「だってさ~。………さっきの子の方が私より可愛かったもん!! トモが好きそうな顔してた」

「まぁ、顔が好きだったのは否定できないけど。でも、それと“好き”は違くない? 岬だってアイドルとか好きでしょ? それと一緒だよ。絶対にガチ恋にはならない」


だってぇ〜、と岬が頬を膨らませる。


「それに、あの子彼氏いたよ。すごくかっこいい男の子」


俺がそう言うと、岬はきっ、と俺を睨む。


「私も見たけど、トモの方がカッコ良かったし!!」

「どこで張り合ってるの……。岬が俺のこと大好きなのは知ってるから」

「じゃあ、他の女の子に優しくしないでよぉ〜。不安になるじゃん!!」


はいはい、と相槌を打って岬を抱きしめる。


「も〜。ばか!! 大好きだよぉ!!」

「うん。俺も好きだよ」


しばらく抱き合ったあと、俺は岬の顔を見て手を差し出す。


「帰ろっか」

「うん」


岬が笑顔で俺の手を取る。



帰る場所は一緒。

手を繋いで、いつものように一緒に帰る。

俺の可愛い婚約者。