「………っ!」

「………も、……んっ!」


遠くから、大好きな人達の声がする。


「たま……ちゃんっ!」


那古ちゃんの声。

そして、


「玉藻っ!!」


その声を聞いて、私は目を開ける。


煌雅が、私のことを“玉藻”と、そう呼んだ。


「こう……が」

「あぁ、俺だよ。よかった……。玉藻が生きてて」


煌雅は心底安心した様子で私の手を強く握った。


自然と、涙がこぼれ落ちる。


「こう、がぁ………。よかった……。煌雅、ここにいる」


全身が痛い。


でも、それ以上に煌雅が私の目の前に立っていてくれていることが幸せだった。


「玉藻………。俺のこと庇って車に轢かれるとか、もう絶対にやめて。玉藻が死んだら、それこそ俺生きてらんない」


煌雅の優しい声が耳に響く。


「ごめんね、煌雅。ごめ、なさ……。ごめん、なさい………っ」


溢れる涙がとまらない。


「うん。これからは、絶対にあんな危険なことしないで。………でも、俺のこと助けてくれてありがとう」


その言葉を聞いて、私は煌雅に抱きつく。

一瞬戸惑いながらも、煌雅はしっかり抱き返してくれた。


煌雅の腕の中は、こんなにも温かい。

さっきまでの冷たさが、嘘みたいだった。


「大好きだよ、玉藻。愛してる」


君が私を愛してくれなかったら、私はずっと孤独だった。


私のことを愛してくれてありがとう。


「うん、私も………。私も、煌雅のこと愛してる」


もう、絶対に君のこと離したりしない。


だから、私の我儘だけど、一生一緒にいてね。










[完]