この間は、煌雅のおかげか一日でよくなり、次の日には帰ることができた。


そして月曜日───


「春瀬おはよう。体調大丈夫? 無理してない?」


前以上に煌雅が構ってくる。


「うん。この間はありがとう。いろいろ世話焼いてくれて」


なんて話していると、那古ちゃんが飛んできた。


「それ、詳しく───」


目がキラキラ輝いている。


「は? 意味なくない。べつに狩谷に関係ねーし」


だが、そんな那古ちゃんを煌雅は一蹴した。


「ふふっ。ふたりは相変わらずだね」


“つい”そう言ってしまった。

でも、私の記憶の中は以前のふたり。


サァ、と緊張が全身を伝う。


「“相変わらず”………? えーっと、玉藻ちゃんの前じゃ初めてな気がしなくもないんだけど…………」


那古ちゃんが首をかしげる。


やってしまった、という後悔とやっぱり、この空間において私だけが異常なんだ、という感情とが襲ってくる。


私が知っているふたりを、ふたりは知らない。

ふたりが知っているふたりを、私は知らない。


現実を目の前に突きつけられる。


やっぱり、だめなんだ。

私は、恵まれてなんかなかった。


負の感情がどっと押し寄せてきて、心臓がきゅっ、と切なく跳ねる。


「えっ、ちょ、玉藻ちゃん!?」

「春瀬………?」


この悪夢はどうすれば断ち切れるのだろうか。

そもそも、これが夢か現実か、まるで判断がつかない。


怖いよ、私だって。


“孤独”という言葉が、胸にぽっかりと空いた大きな穴を、さらに大きく深く、抉っていく。


これは、紛れもない事実であった。


これが夢でも現実でも、今の私からしたら“現実”である。


やっぱり、私は孤独だったんだ。