ひゅう、と風が過ぎていって陽介は小さく震えた。いつの間にか、かなりの時間を過ごしていたらしい。

「今日はもう帰ろう」

 藍は、少し首をかしげるが、うん、と答えた。それから、ふと思い出したように隣に座っていた陽介を見上げる。


「さっき、何か言いかけた?」

「え? あー……」

 覚えていたのか。つい勢いで告白しそうになったが、改めて聞かれると言いづらい。


「や、またでも……」

 やめようかとも思ったが、目の前の藍を見ていると、やはりこみあげてくる気持ちは押さえられない。


「あのさ」

「うん」

「俺、藍のこと好きなんだ」