「そっか。ようやく、見られたな」

 二人で夜空を見上げるようになってしばらくたつが、藍はまだ流星を見たことがなかった。

 もともとここは少し明るい空なので、あまり暗い星は見えにくい。陽介が流星を見た時にも、たまたま藍が望遠鏡をのぞいていた時だったりで、うまくタイミングが合わずそれを目にすることができていなかった。


「嘘みたい。本当に、星が、光が、流れ、る、の」

 ぎこちなく言った藍が、不意に立ち上がった。握りしめたコーヒーが激しく震える。

「藍?!」

「ダメ……今は、私……ああ」

「どうした? どっか痛いのか?」

 うつろな目をして棒立ちに立っていた藍は、しばらくするとまたすとんとベンチに座る。