白い肌。大きな黒い目。赤い小さな唇と、しっとりと夜露に濡れたような長い髪。華奢な体に、陽介のコートはぶかぶかだ。

 その姿をみているだけで、息がつまりそうな胸が苦しくなるような妙な気分になる。


(ああ、そっか)

 ふいに陽介は思い当たった。


「俺さ……」

「あっ!」

 ふいに藍が陽介の背後を見て声をあげた。


「な、なに? どうした?」

「流れ星」

「え?」

 陽介は藍の視線を追って空を見上げるが、そこにはきらめく星が見えるばかりだ。

「流れたのか?」

「うん! 今、ぽろってこぼれるみたいに。あれ、流れ星よね?」

 興奮気味に言った藍の頬に、赤みがさす。