「ごめん、赤羽。足、大丈夫か?」

「他は、どこか当たったか?」

「気をつけろよ、村上、山田」

「そうよ、危ないって言ったでしょ」

 クラスメイトに次々に言われ、二人はしゅんと肩を落とした。陽介は、ひねったという赤羽の足を見ている。


「赤くなってるな。後で腫れるかもしれない。保健室行こうか」

「あとで落ち着いたら行く。今は痛くて歩けない」

 痛いという言葉を示すように、眉間にしわを寄せて赤羽が言った。陽介はそれを見て、赤羽に背を向ける。

「おぶってやるよ」

「え、悪いよ。宇津木君」

「俺、保健委員だし。それに、そこ腫れてくる前に湿布張ってもらった方がいい」

「でも」

「遠慮すんなって。第一、今こじらせたら修学旅行いけなくなるかもしれないだろ?」

 その言葉に、赤羽ははっとした。