「これ、藍に渡して。もう授業も終わったし帰宅していいって伝えてくれる?」
「わかった」
藍の荷物を受け取る陽介に、平野はにっこりと笑った。
「宇津木君が女子のことでそんな顔するの、初めて見た」
「そうか? だって倒れたなんて聞いたら誰だって驚くだろ」
「そうだけどさ。じゃ、仲良くね」
もちろん、と平野の言った意味とは微妙に違った答えを返して、陽介は急いで保健室へと向かった。
☆
「失礼します」
保健室に入ると、白衣の男性が顔を向けた。養護教諭の、木暮だ。
「どうした、宇津木」
淡々と響く低い声。
「あの、藍……木ノ芽さんが倒れたと聞いて」
その名前を聞いて、木暮は男にしては綺麗な顔をわずかにしかめる。若いわりにおちついて渋いとひそかに女生徒から人気がある教師だが、一方で無表情で話しづらいと敬遠する生徒も多い。
「わかった」
藍の荷物を受け取る陽介に、平野はにっこりと笑った。
「宇津木君が女子のことでそんな顔するの、初めて見た」
「そうか? だって倒れたなんて聞いたら誰だって驚くだろ」
「そうだけどさ。じゃ、仲良くね」
もちろん、と平野の言った意味とは微妙に違った答えを返して、陽介は急いで保健室へと向かった。
☆
「失礼します」
保健室に入ると、白衣の男性が顔を向けた。養護教諭の、木暮だ。
「どうした、宇津木」
淡々と響く低い声。
「あの、藍……木ノ芽さんが倒れたと聞いて」
その名前を聞いて、木暮は男にしては綺麗な顔をわずかにしかめる。若いわりにおちついて渋いとひそかに女生徒から人気がある教師だが、一方で無表情で話しづらいと敬遠する生徒も多い。