「おう、お疲れさま!」

「お邪魔でしたー。それから、校内ではほどほどにしたほうがいいっすよ」

 にやにやしながら言って笑う彼らに、陽介はきょとんとしたまま手を振る。


「何をほどほどにって?」

 陽介はわけがわからず首をかしげるが、皐月はからかわれたことに気づいて、か、と頬をそめる。

「な、何かしらね」

 こういうことに、陽介は本当に鈍い。皐月は、それが助かるやらもどかしいやらで複雑な気分だ。

「俺たちも帰るか」

 陽介が壁の時計を見上げる


「……もうちょっと。活動計画、作っちゃおうよ」

 せっかく二人きりになれたのだ。皐月としてはもう少しこの時間を楽しみたい。陽介も、皐月の言葉にうなずいた。


「そうだな。申請にするなら早い方がいいし。えーと、夏の観測合宿の時と同じでいいかな。あれをもとにして……」

 ファイルを探す陽介の背を、皐月は笑顔で見つめていた。



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