「藍は……死んで、る、のか?」

「不吉なことを言うな。藍は生きている。だが……その藍に関して言えば、死んでいる、という言い方もできる」

「どういうことだ?」

 木暮はカップを机の上に置くと、陽介に近づいて来る。



「もともと、もうその体は限界が近かった。普段なら夜間はモードを切り替えて消費電力を落とすんだが、修学旅行中は宿泊もあってできなかった。それが決定打になってしまったんだな。あと一年間はもつ予定だったんだが……ゲームオーバーだ」

「あんたは、一体……」

 木暮は、混乱する陽介に視線を向ける。



「医者であり、開発技術者であり、藍の兄、だな」

 藍の眠る台の横に立った木暮は、白いその頬を愛おしそうになでる。

「がらくたってどういうことだ」

「言葉通りだよ。この体はもう壊れてしまった。言ったろ。この子は、アンドロイドだ」

「……冗談、だろ?」

 木暮は、陽介を真っ直ぐに見た。