「お兄ちゃんも星が好きなのかな」

「あれ? よく藍を連れて星を見たって言ってたけど」

 ほんの一瞬の間があって、藍が明るい声を出した。

「うん。そう。だから、私も夜空を見上げるの好きになったの。お兄ちゃん、すごく星のことに、詳しいんだよ……」

 不自然に声が小さくなった藍を、陽介が振り返る。と、ガラスのような目をした藍にぎょっとする。



「藍?」

「え、何?」

 次の瞬間には、またいつものくりんとした視線が陽介に向けられた。

「どうかした?」

「今、お前……いや、なんでもない。さ、時間もったいないから始めるぞ」

「うん」

 そうして二人でベンチに座って星を見上げる。本来ならもっと見上げやすいようにシートや椅子を用意するものなのだが、修学旅行中でもあり道具をそろえることはあきらめた。