「藍は、星が流れたらここに経路を記録して。なるべく向きを正確に記録するようにね。あとで、流星群の流れ星か散在の流れ星かを調べるから」

「了解です! 部長は何をするんですか?」

 陽介は、手にした記録表を見せた。

「流れ星の継続時間や色、光度なんかをこれに記録していく」

「ふうん。ここに書いてある痕って何?」

「星が流れた後に残る光のあとを痕って呼ぶんだ。少しずつ光が消えていくのがとてもきれいだよ」

「そうなんだ。見られるといいな」

「おうし座流星群の場合は、火球が多いから当たれば大きいのが見えるかも。しし座流星群は、今年は当たり年じゃないから期待薄かな」

 言いながら、陽介はちらちらと木暮がこっちを見ているのに気付いた。



「先生も一緒にやります?」

「……いや。遠慮しておく」

 そっけなくそう言うと、奥のベンチに腰をかけた。

「興味ありそうなんだけどなあ」

 陽介が持ってきたカメラを三脚につけながら言うと、藍が首をかしげた。