陽介たちがタクシーに乗って着いたのは、嵐山の高台にあるこじんまりした公園だった。いくつかの遊具とベンチがあるそこは、昼間なら小さな子供たちが遊ぶのにちょうどいい広さだ。もちろん、暗くなったこの時間には誰もいない。
観測会は、陽介と藍、それと引率の木暮だけだった。
「……なんか、ここが京都だって忘れそうな顔ぶれだね」
夜にも関わらず、藍はいつもの調子で言った。
「今夜は、節電モードじゃないんだ」
陽介は、持ってきた道具をベンチに広げていく。
「今夜は特別。修学旅行だもん! それに、陽介くんが一緒だし……」
「え、何?」
「ううん、何でもない。今日は何やるの?」
「ああ、これ」
陽介は持っていたファイルを開くと、藍に星図を渡した。
「これから、おうし座流星群としし座流星群の観察を始めます」
「はい、部長!」
背筋を伸ばした藍が、びしっ、と片手をあげた。
その様子は、避けられる前の藍のそのままだった。2週間も気をもんでいたことなんてまるでなかったように、また藍と話している。そのことが嬉しくて、陽介はひたすらにこにこと笑みを浮かべていた。
観測会は、陽介と藍、それと引率の木暮だけだった。
「……なんか、ここが京都だって忘れそうな顔ぶれだね」
夜にも関わらず、藍はいつもの調子で言った。
「今夜は、節電モードじゃないんだ」
陽介は、持ってきた道具をベンチに広げていく。
「今夜は特別。修学旅行だもん! それに、陽介くんが一緒だし……」
「え、何?」
「ううん、何でもない。今日は何やるの?」
「ああ、これ」
陽介は持っていたファイルを開くと、藍に星図を渡した。
「これから、おうし座流星群としし座流星群の観察を始めます」
「はい、部長!」
背筋を伸ばした藍が、びしっ、と片手をあげた。
その様子は、避けられる前の藍のそのままだった。2週間も気をもんでいたことなんてまるでなかったように、また藍と話している。そのことが嬉しくて、陽介はひたすらにこにこと笑みを浮かべていた。