「ここしばらく、陽介ずっと何か悩んでいたでしょう。あれ、やっぱり藍ちゃんの事なんだね。私には、何もできなかった。陽介も、何も話してくれなかった。でも、藍ちゃんは陽介を笑顔にすることができるんだよね。……私じゃだめなんだよね」

「でも、お前だって……」

 言いかけた諒に、皐月は小さく首を振った。



「いいの。もう、わかってるし。ここで私も好きでした、なんて言ったら、陽介のことだもの、きっとすごく悩んじゃうでしょ。私、陽介の彼女じゃないけど、陽介の一番仲のいい女友達には違いないもの。うぬぼれじゃなくてそう思ってる」

「うん。それは、その通りだと思う」

「ね? だからもし告白してしまったら、陽介は私に気を使って今まで通りに話すことなんてできなくなるんだろうなって……簡単に想像できる。陽介ってそういう人だもの。それって、陽介の大事な友達を陽介からとりあげてしまうことになるんじゃないかな、って。これも、私がせめて友達ではいたいっていうただのエゴかもしれないけど」

 寂しそうに笑う皐月に、諒の顔が歪んだ。