観測会のことは、事前に班のメンバーにも話してある。流星群と聞いて最初はみんな行きたいと口々に言いだした。彼らが想像するのは、一面に流れ星が流れる夜空だ。けれどその実態は、多くても1時間に10個程度。もしかしたら2、3個なこともあると陽介が説明すると、一緒に行きたいという言葉は穏やかに撤回されてしまった。



「そうだけどさ。いつ流れるかと思って空を見上げていて、すうっと星が流れるのを見た時は、すごく感動するぞ。今日じゃなくてもいいけど、いつか一度見てみろよ」

「宇津木君て案外とロマンチストよね」

「え? そうかなあ」

 陽介はソフトを食べ終わると、残った紙をくしゃくしゃと丸めた。



「そうよ、ね、皐月」

「顔に似合わず、そうかもね」

「顔は余計だ」

 わざと膨れて見せた陽介に、みんなが笑った。



「ふふ。でも皐月もそうよね。二人で夜空を見るなんて、ロマンチックじゃない」

 百瀬が含みのある笑顔で言うと、皐月が焦る。

「ちょ、やめてよ、久美」

 百瀬と皐月、もう一人の女子の久保田は同じバスケ部で仲がいい。当然、皐月の気持ちも二人は知っている。