***
迎えた8月23日10時00分
今日は二郎と会う日である。
ミーンミンミーン……
待ち合わせ場所ではセミが泣きわめいていて
鬱陶しかった。
噴水広場の中央でスマホをいじる私の背中に
恐る恐る声が掛かる。
言っておくがこれは……
妄想じゃない───────。
「もしかして、
ハートマーク ユナ ハートマーク、さん?」
振り返った私は
視線をゆっくりと下げてやって来た
”人物”の全身をまじまじと見た。
重力のまま。頭からゆっくりと下へ。
由奈の視線がその
”人物”のつま先に張り付く頃。
由奈の眉間にはだいぶシワがよっていた。
由奈は声に出さずにはいられなかった。
「うわ、無理」
迎えた8月23日10時00分
今日は二郎と会う日である。
ミーンミンミーン……
待ち合わせ場所ではセミが泣きわめいていて
鬱陶しかった。
噴水広場の中央でスマホをいじる私の背中に
恐る恐る声が掛かる。
言っておくがこれは……
妄想じゃない───────。
「もしかして、
ハートマーク ユナ ハートマーク、さん?」
振り返った私は
視線をゆっくりと下げてやって来た
”人物”の全身をまじまじと見た。
重力のまま。頭からゆっくりと下へ。
由奈の視線がその
”人物”のつま先に張り付く頃。
由奈の眉間にはだいぶシワがよっていた。
由奈は声に出さずにはいられなかった。
「うわ、無理」