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「ふぁ〜あ」

あくびをしながら一学期最後の
教室に向かっていた所だった。
由奈の肩が背後からトントンとされる。

「おはよう〜、八代さん」
「こっ、小暮くんっ、おはよう!」

同じく教室に向かう所だった、
小暮くんが由奈に話し掛けてきたのだ。
小暮くんはいつもHRが始まるギリギリに
登校してくるはずなのに、
まだHRまでだいぶ時間があるこの時間に
学校に来ているなんて。

驚きと、喜びが一気に立ち込める。
もう、由奈の心情的にはそこまで
彼氏が欲しいー、黒髪マッシュー、……
云々の願望はだいぶ無くなっていたのだが、
やっぱり、小暮くんは別腹だ。
この数ヶ月、ろくに会話してこなかったが
度々目で追ってしまう瞬間は確かにあった。

小暮くんに対する想いが1番強かった
隣の席だった頃が瞬時に蘇ってきて
由奈の口元が猛烈にやけ始めた。

「久しぶりだね〜話すの」
「ね!」

「…………」

……やばい。会話がすぐ終わった。
きっとそこら辺の陰キャ男子とならもっとグイグイ話せるんだろうけど……。
これは好きな人、ならではの沈黙だ。
教室まではあと数メートルある。
こんな風に2人っきりで話せる事なんて
またとないチャンスかもしれない。
明日からは夏休みだし……。
由奈は慌てて口を開いた。

「小暮くんちって、縁側ある?」

なんて、突拍子もない質問だろう。
我ながら小さく苦笑して肩を落とした。

「縁側?あるよ〜」

平然と答えた小暮くんに由奈は面を食らった。

「え?あるの?」